2025年は昭和100年。埼玉のとある食堂もほぼ同じ年月を刻んできました。
歴史を感じるお店をイット!の奥寺健キャスターが訪ねました。
昭和レトロな外観にひと際目を引く金色の看板があるのは、埼玉・秩父市にある「秩父パリー食堂」です。
創業から約100年。建物には当時の面影が色濃く残ります。
昔ながらのショーウィンドウには、オムライスやカツカレーが並んでいました。
歴史を感じるのれんをくぐると、ストーブや扇風機などがあり、店内も昭和の空気そのままです。
厨房(ちゅうぼう)を拝見すると、3人も入ればいっぱいになるほどの狭さで、調理台の高さも現代人には少し低めです。
厨房に立つのは82歳の3代目・川邉義友さん。寡黙ながら料理に真摯に向き合う姿が印象的です。
店は4代目の孫・晃希さん(30)とその妻・杏莉さん(29)が中心となって切り盛りしています。
創業当時のメニューには、肉料理やご飯ものなど豊富なラインナップが並んでいます。
中でも、「オムライス」は100年間変わらぬ人気メニューだといいます。
オムライスの特徴について、晃希さんは「創業当初からレシピを変えていない。卵を固焼きにしたオムライス」といいます。
オムライスセットは1550円で、ケチャップライスを包んだ懐かしい味。
セットのクリームソーダが昭和の雰囲気を盛り上げます。
スプーンがコップに入っているのも、昭和らしいこだわりです。
店内には昭和歌謡が流れ、週末には130人以上が訪れる人気店です。
秩父パリー食堂 4代目・川邉晃希さん:
オムライスも40年ぶり50年ぶりに食べましたと、言ってくれるお客が年々と増えていく。感慨深いというか。
来店した所沢在住の男性(40代)は、「少し昔にタイムスリップしたような感じになるというのは、いい感じだなと思う」と話します。
そんな中、店が直面するのは建物の老朽化です。
耐震補強にかかる費用は4000万円。
クラウドファンディングを立ち上げ、支援を呼び掛けました。
普段は寡黙な3代目も「ビー玉を置いたらころがり、壁の一部は崩れています。本当にいつ崩れるかわかりません」と、動画で現状を訴えます。
昭和の記憶をいまに伝えるパリー食堂。
変わらぬ味と空間を守りながら、次の100年へと歩みを進めています。