新潟産大附属高校1年の吉田蒼選手が、卓球プロリーグ・Tリーグのチームとプロ契約を結んだ。9月には入団会見が行われ「夢と感動を与えられるような選手になることが目標」とプロでの活躍を誓った。

「若い選手にしては珍しいほどの完成度」

新潟産大附属高校1年の吉田蒼。

吉田蒼 選手
吉田蒼 選手
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日本初の卓球プロリーグとして設立されたTリーグに所属する金沢ポートとプロ契約を結んだ。

9月下旬に高校で行われた会見で吉田は「地域の皆様に夢と感動を与えられるような選手になることが目標。まだまだ未熟ですが、少しでもチームに貢献できるように精いっぱい頑張ります。応援よろしくお願いします」と挨拶した。

オリンピックメダリストなど国内・海外から世界レベルの選手が集まる金沢ポートの西東輝監督は吉田を「穴のない選手。じゃんけんで言えば、グーもチョキもパーもあるような。若い選手というのは、どこかの部分に特化しているものの、大きな欠陥があったりして、プロで戦おうと思ったときには、最後勝ちきれない展開が多いが、吉田の場合は若い選手にしては珍しいほどの完成度の高いプレーが特徴」と評価した。

25年6月、練習生として金沢ポートの練習に参加した際の吉田の姿がプロ契約を結ぶ大きなきっかけになったとも西東監督は話す。

「プロ選手をなぎ倒してというか、練習試合で勝って、これは練習生ではなくプロ契約をできるなと私が感じた」

金沢ポート 西東輝 監督
金沢ポート 西東輝 監督

また、西東監督が吉田に惹かれたもう一つのポイントが“地元愛”だった。

進学する高校を決める際、全国複数の強豪校から誘いを受けていた吉田だが、「地元の新潟で強くなりたい」という理由から新潟産大附属への進学を決めたという。

西東監督は、その点が“地元密着”を大事にしている金沢ポートの理念と合っていると感じたという。

吉田の獲得について「短期の契約ではなく、将来的にチームのエースになってほしいという思いで契約している」と話した。

「びっくりした。自信になった」自身も驚いた15歳でのプロ契約オファー

小学1年で卓球を始め、小学6年と中学3年の時には日本代表に選ばれるなど世代の第一線で活躍してきた吉田。

タイで行われた国際大会では、19歳以下のシングルスで優勝するなど勢いがあるが、それでも今回の契約には吉田自身も驚いている。

「最初プロ契約の話が来たときはすごくびっくりして、契約すると決まったときはうれしくて結構自信になった。こんなに早くプロになれるとは思っていなかったので、この機会を大事にして、大学生とかになってもプロとしてもっと活躍できればいいかなと思う」と話した。

Tリーグのチームと選手契約を結んでいる現役の高校生は吉田を含めて3人のみ。

ラリーが強み 吉田蒼のプレースタイル

15歳にしてプロの世界に飛び込むことになった吉田選手にプレースタイルを聞いた。

「やはり守備というかブロックは得意で、ラリー強さというのは自分の一番の強みかなと思う。自身の強みは守備にある」

高校入学後、下半身や体幹のトレーニングに力を入れたことでラリー戦の粘り強さが出てきたという。

その守備に加え、西東監督からも高く評価されているのがサーブのクオリティー。成長期のいま、自身の強みに磨きをかけている。

こうした技術を指導してきたのが、吉田を中学1年の頃から見守ってきた梅村卓巳コーチだ。

梅村卓巳コーチ
梅村卓巳コーチ

梅村コーチは「非常にうれしい。最初に見たときは、ここまで成長するとは思っていなかったが、中1から指導していてこういう形に成長してくれた本人と関係者の皆さんに感謝」と愛弟子のプロ契約を喜んだ。

吉田は「梅村コーチの指導は自分に合っていると思う。教えてもらってからバックハンドも増えて、ラリーも勝ちやすくなった。コーチがいなければこういう結果は出ていないのですごく感謝している」とコーチへの感謝を口にした。

「おもしろい」「誰よりも負けず嫌い」友人と兄が語る吉田蒼

練習に取り組む真剣な表情はまさにプロのアスリート。しかし、ひとたび卓球から離れれば普通の高校生だ。

吉田は「最近はウエイトトレーニングをしたり、練習後に家に帰ってから走ったりというトレーニングを頑張っている。中学生の時より厳しい生活になって、しっかりご飯を食べないと練習とか集中していけないのでご飯はしっかり食べている」と話す。

山岸駿さん
山岸駿さん

同じ部に所属する山岸駿は吉田について「おもしろい。一緒にいることが多いが、友達と一緒に寝ながら帰っている」と話す。

友人達とは様々なことを話すというが、吉田は「卓球の話をしているときが一番楽しい」と根っからの卓球好きな性格をのぞかせた。

吉田が卓球を始めたきっかけは、兄・蓮さんの存在だった。

吉田選手の兄・蓮さん
吉田選手の兄・蓮さん

当時を思い出し、吉田は「兄がまず卓球をやりたいと言って。お父さんが経験者だったので、それで兄が1回練習に行って、自分もついて行きたいと言ってそこから始めた。ラリーをしているところとかが楽しそうだなと思って始めた」と振り返る。

「ずっと一緒に卓球をやってきた」と話す蓮さんは、弟の性格について「誰よりも負けず嫌いだと思う。どんなときも真剣に練習に取り組むので、そこは自分も見習うようにしている」と話す。目標としているプロの世界に入ろうとしているので、そこは本当に応援したい」と弟の活躍に期待を寄せている。

多くの人の期待を背負いプロの世界へ

多くの人からの期待を背負い、プロとしての一歩を踏み出す吉田。

「小学生の頃とか結果が出ていないときは、ちょっと卓球をやめたいなと思ったこともあるが、やめなかったのは卓球が好きだったからだと思う。ずっと好きでやってこられたかなと思う」

これからの目標については「みんなから信頼されたりして、みんなのお手本になる選手になり、将来は日本代表としてオリンピックや世界選手権に出て活躍するというのが目標」と話すが、「全部の技術が足りない。フィジカルなど自分の持っているものを全体的に上げていかないといけない。プロの選手にはまだまだなので」と自身の現在地も謙虚に受け止め、努力していく姿勢を口にした。

「結果が出たときが一番楽しい」と話す吉田。今後、チームの試合に帯同し始め、プロの世界での旅路を歩み始める。

今後の活躍に期待だ。

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NST新潟総合テレビ
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