56%が「4年前より暮らし向きがよい」
「四年前よりも、今の方が暮らし向きが良い」という米国人が56%いるという調査結果が7日、ギャラップ社から発表された。
世論調査では、トランプ大統領がバイデン候補に二桁の差を付けられている時に、この調査結果は意外に思える。トランプ大統領自身も驚いたようで、早速次のようにツイートした。
「コロナウイルスの世界的大流行の中だというのに、四年前(オバマ、バイデン時代)よりも暮らし向きが良いというギャラっプ調査は信じがたいほどだ。過去の調査でも最高だとか。素晴らしい!」
この記事の画像(5枚)過去の再選大統領の中で最高
この調査、1984年以来現職の大統領が再選をはかる際に行われている(1996年のビル・クリントン大統領の再選選挙の際だけは行われなかった)もので、過去の結果は次の通り。
ドナルド・トランプ大統領 ( 2020年)56%
バラク・オバマ大統領(2012年)45%
ジョージ(子)・ブッシュ大統領 (2004年)47%
ジョージ(父)・ブッシュ大統領(1992年) 38%
ロナルド・レーガン大統領(1984年) 44%
この内再選を果たせなかったのは1992年のブッシュ(父)大統領だけだが、38%という国民の満足度が足を引っ張ったと考えられている。
当時米国は、湾岸戦争のツケと石油価格の上昇などで景気後退に陥り、株価は低迷し失業率の回復も遅れていた。
これに対してクリントン陣営は、「経済だ!バカモン」というスローガンで選挙運動を経済一本に絞って戦った結果、現職者を破るという米大統領選では戦後三例しかない勝利を修めたのだった。
株高が確定所得年金を押し上げたか
そこで今回のトランプ政権下の満足度だが、米国経済は コロナウイルスの影響で、GDPは年率30%以上低下したり、失業率も一時は15%近くまで悪化した中でなにが「四年前より良くなった」というのだろうか。
一つ考えられるのが株価だ。トランプ治世下でダウ工業株価は4年前19800ドルから28500ドルと44%余り上昇した。これで得をしたのは資産家だけではない。米国では401Kと呼ばれる株価連動の確定拠出年金を運用している者が6800万人にのぼる。
EBRI/ICIのデータによると、この4年間で25~34歳で職歴4年以内の401K運用者の平均残高は176%増加している。55歳~64歳で職歴20~29年の熟年層でも最低で48%増えている。
「”私の父は組合員で、トランプ政権下で401Kが(残高が)三倍に増えた。ドナルドトランプに投票する”USA有権者。サンキュー。株式市場はまだまだ最高値を更新するよ。来年は最高の年になる。投票だ、投票だ、投票だ!!!!」
株価と投票行動
トランプ大統領はこうもツイートしたが、果たして株高が選挙に結びつくのだろうか。
ギャラップの調査は同時に、興味ある調査をしていた。
「大統領として誰が適性があるか」との問いには、バイデン候補が49%、トランプ大統領が44%だったが、「どちらの政策に同意するか」では、トランプ大統領49%、バイデン候補46%で逆転した。
今回のギャラップの調査から見えてきたのは、有権者がトランプ大統領個人の個性については抵抗感を持っているものの、その政策には恩恵をこうむっていると感じているということだろう。
そのどちらが投票行動を促すかで、来月3日の選挙の行方を左右しそうだ。
【執筆:ジャーナリスト 木村太郎】
【表紙デザイン:さいとうひさし】