今年で60周年を迎えるJICAの海外協力隊事業。その節目を記念する勉強会が6日、東京で開かれ、ベトナムから帰国し、石川テレビの社員、そしてインフルエンサーとして活動する男性が出席しました。
6日、東京都のJICA竹橋本部で開かれたのはJICA海外協力隊発足から60周年を記念したメディア向けの勉強会です。
海外協力隊は政府開発援助、ODAの一環として、開発途上国の要請を受け、専門の技術を持つ人を派遣する取り組みで、これまで99の国に、約58000人の隊員を派遣してきました。
勉強会では、現在「医師」や「飼育員」など、様々な分野で活躍する協力隊経験者が登壇し、協力隊になったきっかけや現地で見た景色・学んだことなどを話しました。
このうちの一人、山本岳人さんは石川テレビの社員でありながらベトナムで圧倒的な人気を誇るインフルエンサーという、異色の経歴を持つ帰国隊員です。山本さんは2021年度1次隊としてベトナムへ赴任し、現地のテレビ局で番組制作に携わる傍ら、自分が食べたものや製品、訪れた場所や出会った人など、ベトナムでの等身大の暮らしをTikTokに投稿したところフォロワーが急増。当初は家族しかいなかった視聴者も、いまでは約50万人と、大人気インフルエンサーとなりました。
もともとは地元を盛り上げたいという思いでテレビ局員の道を選んだ山本さん。その山本さんがベトナムで活動しようと思ったきっかけは日本とベトナムの”近くて遠い関係”にありました。
山本岳人さん:
「在日ベトナム人の数はいま、日本にいる外国人の中で2番目に多くなっている。日本とベトナムの距離は急速に近くなっているが、日本にはベトナム語の表示がなかったり、お互いを理解できていないことからトラブルが発生したりと、問題が山積している。」
関わりを持つ人の数は多いのに相互理解が伴っていない。その状況を変えるために放送に携わる者としてできるのは、互いの文化や考えを伝えることなのではないか。そうした思いからベトナム行きを決意したそうです。
山本さんは現在も、ベトナムや世界へ向けた日本の発信、石川や日本に向けたベトナムの発信を続けています。
その活動の先には海外協力隊が掲げる目的である「ボランティアの社会還元」があると山本さんは話します。
山本岳人さん:
「これまでは現地での活動や経済発展・復興に寄与した人が注目されていたが、これからはその先、活動がどう日本と世界に還元されていくのかを広く発信していくべき」