自民党の次のリーダーに選出された高市早苗新総裁。

小泉進次郎農水相が優勢かと言われていた中でのこの結果に、共同通信社論説委員・太田昌克さんは、「麻生さんがジョーカー役を果たした」と解説しました。

【共同通信社論説委員 太田昌克さん】「麻生さんがジョーカー役を果たした。“坊主めくり”で高市さんにひっくり返したと見れます。小泉陣営の幹部にきのう=5日取材したら、総裁選当日の朝、麻生さんが指示を出しているという情報が流れてきた。『決選投票は党員票』だというふうな指示ですね。実は小泉陣営の中にも麻生派からアプローチをされて切り崩されそうになった人がいたそうですね。

小泉陣営は1回目の投票で90、100票くらいを目論んでいたんですけれども、結果80だったと。すなわち1回目ですでに切り崩されているんじゃないかということで『これは決戦投票はやられるんじゃないか』、そういうふうに思っていたら的中したという言い方をこの幹部はしていました」

■「完全に派閥の力学に戻った」と橋下氏

さらに、橋下徹さんは「完全に派閥の力学に、元に戻った」と指摘しました。

【橋下徹さん】「党内をまとめるだけじゃなくて、野党の協力を得ないと過半数取れないわけですね。ただこの『派閥の力学』ね、これは人が集まればグループってできるんですよ。ただ、国民としては今までの派閥の力学はもうやめようよっていう感覚が強かったと思うんですよ。今回完全に派閥の力学が働きました。

なぜ派閥の力学が良くないかというと、麻生さんの指示に基づいて国会議員が何十名が動いたっていうのは、これは普段からの飲み食いのおつき合いとか、それから選挙のときに陣中見舞いと称して、これは適法にですけども、お金が数十万、数百万飛びかうのが派閥だったんですよ。

そのお金を集めるのがもう大変で、裏金問題が生じたでしょ。だから僕は人間が集まればグループができるのは当然だと思うけれども、誰か1人の声に基づいて、一斉にわっと動いてしまうこと、それはやめようねって言ったのが自民党じゃないのかなと思うんですけど」

【吉原キャスター】「今回、解党的出直しを掲げてましたよね」

【橋下徹さん】「完全に派閥の力学に元に戻ったんじゃないですか」

【共同通信社論説委員 太田昌克さん】「これちょっと国民はがっかりされてると思いますよね。あまりにも選挙が内向きであって、もっとオープンに政策を語って、もっと国民の声を聞いて欲しかった。

ただ(国政選挙)2回、前回の総裁選から負けていますから、議員心理としては党員票に耳を傾けなくてはならない。麻生さんの一声が大きな流れができたということかと思いますね」

【橋下徹さん】「やっぱり国のリーダー決めるのは最後は国民が選ぶっていうね、首相公選制が必要だと思いますよ。こんな決め方やっててね、日本のリーダー、本当にこういう決め方自身、これでいいのかなと思いますけどね。高市さんはもう選ばれたからいいんですよ」

■「自公連立は最初から地獄」と太田氏

一方、少数与党という厳しい現状実現するにあたって、避けて通れないのが野党との連携、そして連立の拡大です。

太田さんは「自公連立は最初から地獄」だと指摘する自民党議員の声を紹介しました。

【共同通信社論説委員 太田昌克さん】「自民党の中には、『自公連立は今回最初から地獄ではないか』という指摘をする人がいます。

靖国参拝であったり、政治とカネの問題、裏金議員の登用ですよね。実際、公明党幹部に昨晩取材したら、当初というか、元々は小泉が既定路線だったと。

しかし、高市さんになって『連立の難しさのレベルが変わってしまった』と言ってましたね。”地獄の船出”を暗示してましたね」

【吉原キャスター】「この発言はけん制なのかそれとも本気なのか、どう見てますか」

【共同通信論説委員 太田昌克さん】「(取材したのは)つき合いの長い幹部なんですけどね、私はブラフとは受け止めなかった。ハッタリではなくて、かなり深刻に今回、自公連立については考慮されていると思いました」

■国民民主の政策を実現するかがカギか

【橋下徹さん】「高市さんはもう国民民主党がターゲットですよ。元々小泉さんと、維新、特に吉村さんとは親和性があり、小泉さんは聞くところによると『副首都構想大賛成』と『大阪都構想も賛成』、そういう路線だったんですが、高市さんはそこまでの副首都構想・大阪都構想に熱量はないので、一気に吉村さんのトーンもダウンしました。

国民民主党は、ここはある意味チャンスで、『178万円基礎控除の引き上げ』とそれから『ガソリン税の暫定税率の廃止』。ずっと言ってきたことを高市さんがやりきるかどうかですね。

石破政権のときにはいつも財源問題で、税制調査会・宮澤さんが全部ストップをかけてたんですけども、高市さんはそれを押し切って、場合によっては宮澤 さんを入れ替えるぐらいまでの強権発動をやってまで、年収の壁とガソリンの暫定税率やりきるかどうか。

年収の壁が引き上げたらこれ実は年末調整でも減税なるんですよね。実行力を見せるかどうかがポイントじゃないですか」

高市新総裁がどういう政権の枠組みで政策実現を目指していくのか注目されます。

(関西テレビ「newsランナー」2025年10月6日放送)

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