支える家族へ心ない言葉も
治療は、家族みんなで支えている。
これは、男の子の母が作成した家事リスト。
掃除の項目だけでもこんなにある。

お気に入りのぬいぐるみも週に1度、アレルゲン除去のため洗濯機で丸洗いする。
週2回の在宅勤務と年10回まで使える「看護休暇」で仕事と育児を両立しているが、過去の職場では、「そんなに頻繁に(仕事を)休むなら仕事やめたら?」などと、心ない言葉もかけられたという。

「克服したい」家族で挑む治療
この日、男の子は少しずつ食べることで、アレルギーの克服を目指す「経口免疫療法」のため、家族でクルミ入りのチョコレートを作っていた。
「(クルミを)食べれるようになりたい」。
クルミを細かく砕き、はかりで計測した後、母が砕いたクルミにチョコレートを流し、カラフルなトッピングを盛り付けて…完成。

男の子:
「いただきます」
勇気を出して「パクッ」。
少し目のかゆみが出たが、体調の変化もなく無事クリア。

5日後…、男の子は次のステップのため、病院を訪れていた。
母:
(きょうは)クルミ、この前食べたのよりちょっと多いんだって
男の子:
えー!
母:
大丈夫そう?
食べられる量をさらに増やすには危険が伴うため、自宅ではなく専門の医師のもとで行う必要がある。
緊張する男の子。目標の0.5グラムのクルミ入りチョコレートに挑戦した。

その後、体調の変化はなく、見事、目標の0.5グラムをクリアした。
この日は、同じく重いクルミアレルギーに悩む別の4歳の男の子も病室にいた。
まずは20分の1の0.025グラムに挑戦。
しかし数分後、異変が…。

4歳の男の子:
かゆい
母:
ちょっと痒い?
おなかの痛みも訴え、「帰りたい」と言い出した。

医師:
次、どうする?もう一回(クルミ)食べてみる?
4歳の男の子:
食べない!もっとひどくなるから
このあともう1口飲んでみることにしたが、帰宅後に症状が出たことで、判定は持ち越しに。簡単には乗り越えられないのがアレルギーの治療だ。