暗闇に浮かび上がる2頭の親子グマ。
10月2日午後8時ごろ、札幌市西区西野の住宅近くに設置されたカメラで撮影されました。
ここから北に1キロほど離れた公園でも。
「札幌市の職員が、クマが目撃された林道で痕跡を調べています」(水上 孝一郎 記者)
10月2日午後5時30分ごろ、林道を走っていた中学生2人が体長約1.5メートルのクマを目撃。
2キロほど離れた場所では、クマのフンが見つかっています。
付近の学校では保護者が登校を見守りました。
「子どもの友達がクマを見た。目撃場所が近いので心配」(保護者)
札幌市では市街地でクマの出没が相次いでいます。
1週間前には西区の平和丘陵公園で犬を散歩させていた男性がクマに襲われ、右腕にケガをしました。
その直後から警戒に当たった札幌市のヒグマ防除隊の玉木康雄隊長は。
「通常であれば、起こり得ることのないような事故。今年は非常に山の木の実りがないので、クマが山ではなく裾野に下りてきている。子グマを守ろうとする母性本能は、人間も動物も一緒。その瞬間にカーッとなり反射的に襲ってしまう。本当に悲しい事故」(北海道猟友会札幌支部 ヒグマ防除隊 玉木 康雄 隊長)
男性が襲われてからの1週間、札幌市内でのクマの出没情報は38件に上ります。
2024年の同じ時期は5件なので約8倍に。
あわせて3頭が駆除されましたが、出没は止まりません。
10月2日に緊急で開かれた、札幌市の対策委員会。
男性を襲ったクマは人間に驚き、子グマを守るためだったと報告されました。
また、フンを分析した結果、この時期に食べるはずの木の実がほとんどなく、草ばかりだったことが判明しました。
「ドングリが本当にない。コクワも実がついていない。率直に言ってゼロに近い。クマは餌を探してうろつき回っているので、どこから顔を出してくるかわからない。これから先、どんどん葉が落ちてくると見通しがきくようになる。するとクマと出会う機会が増えていくので、警戒感を高めなければならない」(玉木隊長)
現場の公園では、山林との境界に電気柵を設置するなどの対策が取られました。
「このクマが一過性で森に帰ってしまって、しばらく姿を現さない可能性もある。人を襲う可能性があれば、当然駆除に向かわなければならない。ここから先は、そのクマの行動次第」(玉木隊長)
餌不足で人里への出没が相次いでいるクマ。
札幌市西区には「ヒグマ警報」が出されています。
改めて警戒が必要です。