手話が語る福祉のコーナーです。日本で初めて開催される、きこえない・きこえにくい人のオリンピック「デフリンピック」まであと1カ月余り。練習に励む岡山・香川の選手たちに大会への思いを聞きました。
◆2025年で100周年 東京開催の「デフリンピック」に岡山・香川から4人の選手・監督が出場
(デフサッカー女子 小森彩耶選手)
「メダルを取りたい」
(デフ陸上男子走り高跳び 佐藤秀祐選手)
「2m10以上跳んでメダルを取りたい」
(デフバドミントン 片山結愛選手)
「金メダルを目指して頑張る」
11月に東京で開催される、きこえない・きこえにくい人のための国際的なスポーツの祭典「デフリンピック」。4年に1回開催され、2025年で100周年を迎えます。
そんな記念すべき大会に日本勢は過去最多の273人が出場する予定で、岡山・香川では4人の選手と監督がデフリンピックに出場し頂点を目指します。
◆「障害の有無に関係なく」サッカーを楽しんでいるところを見せたい」デフサッカー・小森彩耶選手(18)
まずは、デフサッカー女子。就実大学1年で倉敷市出身の小森彩耶選手(18)。9月19日から3日間、宮城県で行われた日本代表合宿に参加しました。練習やトレーニングマッチなどで連携を深め合宿を通じて、チームでの自身の動きを再確認していました。
(小森彩耶選手)
「ディフェンスの動き方が今まであいまいで、自分がどういう動きをしないといけないのか、こういう状況の時にどうするのかを考えながらやった」
小森選手のポジションはボランチ。周囲の選手と息を合わせて連携を強化します。
(小森彩耶選手)
「サッカーはコートが広い分、コミュニケーションを健聴者は声でとっているが、手話でとると見えない時もありコミュニケーションが大変」
小森選手は生まれつきの難聴で、サッカーは小学2年生で始めました。それ以来、ずっと健聴者のチームでプレーしてきました。
デフサッカーと出会ったのは、2024年。同じく日本代表の石岡洸菜選手の誘いがきっかけでした。
(小森彩耶選手)
「こういうのがあるけど行ってみたら、と連絡してもらったので行ってみた」
2025年6月にイタリアで行われた「デフフットサルワールドカップ」の日本代表に選出。そして、8月にデフリンピック日本代表が決まりました。
チームの課題と一つ一つ向き合い、できることを着実に増やしているという小森選手。デフリンピックでの目標は…。
(小森彩耶選手)
「自国開催で100年の記念すべき大会なので、メダルを取りたいというのが1番で、障害のあるなしに関係なくサッカーを楽しんでいるところを見せたい」
◆「2メートル10以上跳んでメダルを取りたい」デフ走り幅跳び・佐藤秀祐選手(24)
岡山市出身で平林金属所属の佐藤秀祐選手(24)。自己ベストは1メートル95。この自己ベストの更新をめざし練習に励みます。
(佐藤秀祐選手)
「2メートルを今月(9月)中に跳びたい。そこから2メートル10へ、あんまり時間がないが頑張りたい」
甘い物が大好きだという佐藤選手ですが、デフリンピックに向け今はおあずけ。体調管理に細心の注意を払っています。
大会を目前に控えた現在、毎週、記録会に出場しています。9月13日に開かれた倉敷陸上記録会。1メートル90をクリアし、自己ベストを1センチ上回る1メートル96に挑戦しました。自己ベスト更新とはなりませんでしたが、デフリンピックに向けて前を向いています。
(佐藤秀祐選手)
「1メートル96を跳ぶ時にちょっと迷ったので、気持ちを強くいけば跳べたと思う。あと2カ月しかないが、焦らずに頑張るしかない」
◆聞こえない子供たちに夢や希望を届けられるような選手に…デフバドミントン・片山結愛選手(22)
デフバドミントン混合ダブルスと団体戦に出場する香川県綾川町出身の片山結愛選手(22)は、9月13日に高松市で行われた代表合宿に参加しました。
片山選手の強みは思いきりの良さ。追い込まれた局面でも確実に点を取ることができるのが強みです。合宿でも自分らしいプレーができるよう練習を重ね汗を流しました。
(片山結愛選手)
「点数が離れてもやるべきことをやるように心がけている」
9月23日、岡山市で行われた壮行式で拍手を意味するハンドサインで出迎えられた片山選手。デフリンピックへの思いを語りました。
(片山結愛選手)
「デフリンピックという舞台は聞こえない自分を出せる場所だと思う。その場所でしっかりプレーすることで将来の同じような聞こえない子供たちに夢や希望を届けられるような選手を目指したい」
最後は会場一体となって、がんばれコールをハンドサインで行いエールを送りました。
デフリンピックまであと1カ月。選手たちは熱い想いを胸に目標に向かって今も練習に励んでいます。