夏から秋にかけての時期はハチが活動を活発化させます。
特に近年は猛暑の影響で活発な期間が長くなっていて11月ごろまで注意が必要だということです。
アシナガバチのような攻撃性のあまり強くないハチでも、巣を放置すると思わぬ危険を招く恐れがあり、要注意です。

大河原町の佐藤進さん。
「スズメバチハンター」を名乗り、年間約120件の依頼を受けるハチの巣駆除のスペシャリストです。

この日訪れたのは、白石市内の住宅。

佐藤進さん「この換気扇の中にアシナガバチが巣を作ってますね」

換気扇の中にアシナガバチが直径約10センチの巣を作っていました。
アシナガバチは、スズメバチなどに比べると攻撃性は低いものの、自らの危険を感じると攻撃に転じます。
人が刺されれば、アナフィラキシーショックを起こすおそれがあるため、注意が必要です。

殺虫剤を使い駆除はあっという間に完了しました。
アシナガバチは夏から秋にかけて活動を活発化させ、冬を前に次の世代に交代する準備を進めます。

Q.もっと巣は大きくなる?
佐藤進さん「まだ巣はもう一回り二回りは大きくなる」

この時期に巣はどんどん大きくなり、刺激してしまうと攻撃されることが多いといいます。

アシナガバチの危険は実はそれだけではありません。
この日、次に訪れたのも一般の住宅です。

佐藤進さん「今回の現場はあちらです。2階の軒下に見えますかね。20センチ近いアシナガバチの巣があるんですけれども。壁にくっついてるの実はアシナガバチじゃないんですよ。見えますかね、スズメバチです」

アシナガバチの巣の周りにいたのは1匹のオオスズメバチ。
様子を窺うように巣の周囲を飛んでいます。その理由は・・・

佐藤進さん「ひどいときだと、オオスズメバチが全部幼虫さらってくんですよ。で、巣空っぽになる」

スズメバチはアシナガバチの幼虫を餌にするため、狙っていたのです。

Q.1匹で来てますけど、戦えるんですか?
佐藤進さん「戦えるんです。勝つんですよ。(アシナガバチは)警戒するだけ何もできない。勝てないんで早くいなくなってくれないかなって思ってるだけだと思います」

アシナガバチの巣が、凶暴なスズメバチを呼び寄せるとなれば、人間にとっても危険度はさらに高まります。佐藤さんは準備を始めました。

佐藤進さん「スプレー、粘着シート、網、あと取ったハチ入れる袋とのこぎり」

ベランダから屋根へ上がり巣に近付きます。佐藤さんが巣に近付こうとするなかオオスズメバチがアシナガバチに襲いかかろうとしていました。

佐藤進さん「今スズメバチを4匹くらいで囲んでいます」

大量のアシナガバチが巣の外に出てきてオオスズメバチに応戦します。
そんななか…

殺虫剤でスズメバチもろとも一網打尽に。
直径17センチの巣には、約100匹のハチがいました。
約1カ月半でこの大きさになるそうです。

アシナガバチだけでなく、それを狙うスズメバチという二重の危険。
こうしたことも踏まえ、ハチの巣を見つけた場合、基本的には駆除業者に任せた方が安全だと佐藤さんは言います。

佐藤進さん「こぶしよりも小さい段階であれば個人でもできるかもしれないんですが、それが手のひらサイズになってしまうと、もうハチが数十匹います。すごく危険ですので、万が一刺されてしまうと大変なので、その時は我々業者に頼んでいただくのが一番です」

ハチが活発に活動するのは一般的には10月半ばごろまでですが、近年は酷暑も影響してか、ハチの活発な期間が長くなっているため、佐藤さんは11月の上旬ごろまでは注意が必要だと指摘します。

佐藤進さん「以前は11月とかお仕事なかったんですけれど、今11月になっても駆除依頼来るようになりました。ハチの危険性があると思うので、本当に気を付けてください」

そして、万一刺されてしまった場合、放置すると命に関わることもあると医師は指摘します。

勾当台あやこクリニック 遠藤文庫院長
「アナフィラキシーの症状が出ている場合ですが、ちょっと具合悪いから1人で木陰で休んで、とかになってしまうと、もう最悪の場合、死亡する場合があります。」

アナフィラキシーの症状は様々ですが、遠藤医師にいくつかの具体例を挙げてもらいました。

勾当台あやこクリニック 遠藤文庫院長
「じんましんとか皮膚が赤くなってくる、あとはのどのかゆみとか、ちょっと息苦しさとか、ぜーぜーする呼吸が出てきたり。血圧が下がっている可能性があるので、そのような兆候が現れた場合には、すぐ救急車を呼んだほうが良いと思います」

また、過去に一度刺されたことがある人は、より注意が必要だといいます。

勾当台あやこクリニック 遠藤文庫院長
「1度ハチに刺されたことがある方は、すでに抗体が出来ている可能性が高いです。2回目以降だと、入ってきた異物に対して早急に対応しようと身体が反応しますので、2回目以降の方がアナフィラキシーショックを起こしやすいです」

攻撃的ではないハチでも巣を放っておくとスズメバチを呼び寄せる恐れがあります。
巣が大きくなり、危険性が高まる前に対応が必要です。

仙台放送
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