岩手県内では2025年、クマによる人への被害が相次いでいるほか、夏以降は出没も急増し予断を許さない状況です。
こうした中、専門家は「出没のピークが10月以降に再び訪れる可能性がある」と懸念を示しています。

9月27日、雫石町の住宅付近で成獣とみられるクマが目撃されました。

岩谷凜アナウンサー
「成獣と思われるクマがいます。わなにかかった子グマを気にしているのでしょうか、辺りを歩いています」

内記和人記者
「いるいるあそこ、いたいた」

9月25日には、八幡平市の中学校付近で4頭が、盛岡市の中心市街地でも1頭が目撃されるなど、県内では夏ごろからクマの出没が急増しています。

県内の月ごとの出没件数は、7月が1049件、8月が867件といずれも2024年までの5年間の同じ月と比べ最も多い状況です。

クマに襲われた人の数は9月30日時点で23人と、すでに2024年全体の倍以上となっています。(2024年比+14人)

クマの生態に詳しい森林総合研究所の大西尚樹さんは、クマの出没は今後も高止まりのおそれがあると懸念を示しています。

森林総合研究所 大西尚樹さん
「これからクマは、冬眠に向けたくさん食べる、食いだめをする時期。山の中の実りが悪いということで、餌を求めてクマが歩きまわって、人里に下りてきているのではないかと考えられている。これから10月に入り、出没のピークがもう一つ来る可能性が十分考えられる」

東北森林管理局のまとめによりますと、クマが秋に食べるブナの実の結実は、2025年、2年ぶりに大凶作となる予測が示されています。(7月時点)

この上で大西さんは「クマの分布域が広がって人里に接している」と分析しています。

森林総合研究所 大西尚樹さん
「前線が、もう人里に入り込んでいるような、そういう状況が出来上がってしまって、そうすると、この状態が毎年発生するのではないか。つまり人身被害がよく出るのではないかと考えられる」

この上で大西さんは、人里にクマを寄せ付けないためには地域住民が協力をして、臭いが強いものを管理することが大切だと話します。

森林総合研究所 大西尚樹さん
「ごみとか漬物とか、ガソリン・灯油。きちんと密封して管理すること。『クマが地域に来る最初の段階で止める』ということが大事」

予断を許さない人里へのクマの出没。安全な暮らしを守るために、地域ぐるみでの対策が求められています。

岩手めんこいテレビ
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