任期満了に伴い10月5日に投票が行われる岡山市長選挙を前に、岡山市政の課題についてお伝えしています。9月30日は「公共交通」です。
(竹下美保記者)
「シャインイエローが鮮やかです。こちらが利用者が少ない郊外を走る小型の車両、岡山市が進める路線バスの再編計画を象徴」
岡山市では、9月から本格的に、路線バスの再編が進んでいます。岡山は、バス会社8社が競合する激戦区、2018年に法定協議会を設置し、公共交通の在り方を検討してきました。
コロナ禍での利用者の落ち込み、運転手不足などの課題を解決するため、岡山市が提案したのは・・。
利用者の多い市内中心部を「幹線」、利用者の少ない郊外は小型の車両で走る「支線」と位置付け、バス停や車両を市が準備し、民間が運営する「公設民営」方式です。2027年にかけ10の方面17路線を再編する計画です。
しかし、2025年4月に先行してスタートしたJR妹尾駅と北長瀬を結ぶ路線では、約30人乗りのバスの利用者は1便当たり約3人と、採算が取れる目安の3分の1ほどです。
(岡山大学 中村良平名誉教授)
「これからは人口も減るし、高齢化も進むと、ますますバス事業自体が厳しいところが出てくるが、同時に重要な公共交通手段になってくる。バスのネットワークをいかに構築していくか、それが市民にとって分かりやすく、市民にとっての足代わりになるようにしていくことは重要な問題」
岡山市長選挙に立候補しているのは、届け出順に現職で4選を目指す大森雅夫さん(71)。市民団体役員の向谷千鳥さん(67)。元岡山県警・警部補、神崎政人さん(37)。元岡山市議会議長、浦上雅彦さん(60)の4人です。
現職の大森雅夫さんは、国土交通省の出身。路線バスの再編は市長肝入りの政策で交通課題を抱える自治体のモデルになればと意気込みます。
(大森雅夫候補<無・現>)
「需要があるだろうとみんなで議論して支線を走らせた。私は意味があると思うが、根付くかどうかこれから数年間が勝負、場合によっては増やすことができるかもしれない」
生活者目線での施策を訴えるのは、向谷千鳥さん。これまで聞いてきた多くの市民の声を交通政策に反映したいと主張します。
(向谷千鳥候補<無・新>)
「市街地中心に偏っているので、路線の検討、十分に検討しなければならない。手っ取り早い方法としては住民の皆さんから要望が強いのは、高齢者のタクシー券の支給。すぐにでもしていきたい」
この春まで岡山県警の情報管理課で業務システムの構築を担当していた神崎政人さん。培った専門知識を活用し、市政にデジタル改革をもたらしたいと訴えています。
(神崎政人候補<無・新>)
「支線でもたどり着けないところについて、オンデマンド、デマンド交通を充実させて、統合的なアプリを構築して、予約や運賃、全て一貫して行えるMaaS(マース)と呼ばれる交通体系を作りたい」
2回目の市長選出馬となる浦上雅彦さんは、市が進める路線バスの再編を評価しています。岡山市交通局をつくって、どの地域も遜色ない公共交通の実現を目指します。
(浦上雅彦候補<無・新>)
「公共交通の観点で言うと、市内の渋滞は市民のストレス、ものすごく渋滞があってマンネリ化していて、渋滞はなぜ起きるのか、渋滞のメカニズムを研究して1カ所ずつでも直していかないといけない」
岡山市長選挙は、10月5日に投票が行われ、即日開票されます。