死者・行方不明者63人を出した御嶽山噴火災害から9月27日で11年がたち、長野県王滝村で追悼式が開かれました。悲劇を繰り返さないために、遺族などでつくる会は、安全登山の啓発を続けています。

雄大な姿を見せた9月27日の御嶽山。早朝、王滝村の登山口では遺族などでつくる「山びこの会」が、登山前の情報収集やヘルメットの着用などを登山客に呼びかけました。

「山びこの会」:
「安全登山の啓発活動やっています」

登山客:
「あの日から11年ですね」

「山びこの会」事務局代表・シャーロック英子さん:
「11年前のきょう、このようないい天気の土曜日ということで、再現をしたような日となり、なおさら切ない思い」

2014年9月27日に噴火した御嶽山。死者58人、行方不明者5人と、戦後最悪の火山災害となりました。

「山びこの会」は、災害の風化を防ぎ、教訓を生かしていこうと、4年前から安全登山の呼びかけを行っています。

「11年前のきょう、噴火しているんです。気をつけて登ってください」

呼びかけをした1人で安曇野市の野口弘美さん(67)。噴火で亡くなった夫・泉水さん(当時59)が好きだった松本山雅の帽子をかぶって活動に参加しました。

噴火で夫を亡くした・野口弘美さん:
「噴煙を見たらすぐ逃げてもらいたい。写真を撮らないで逃げてと。命は一つしかないということを忘れないでほしい」

登山者は―。

名古屋市から家族と:
「気を付けることによって、噴火で死ぬ人が少なくなれば。自分の命を守りながら、頑張って登山します」

登山客:
「花も少しだけ持ってきて、頂上まで行けたらいい」

「山びこの会」事務局代表・シャーロック英子さん:
「大丈夫」

こちらの男性は11年前の噴火に遭遇し、同じパーティーの仲間4人を失いました。

噴火で仲間4人を失った男性:
「ようやく同じような天気の時に帰ってこられたなと。いろいろかみしめながら登ろうかなと」

仲間の追悼のため山頂へ―。

「山びこの会」事務局代表・シャーロック英子さん:
「『これは何の活動ですか』という質問を受けると、皆さん忘れてしまっているなという感じがする。こういう地道な活動を続けることが風化防止の一つだなと思います」

9月27日は、追悼式の会場からも御嶽山がしっかりと望めました。

噴火発生時刻、午前11時52分。

参加者:
「黙とう」

追悼式では、愛知県刈谷市の野村敏明さん(65)が今も行方不明の長男・亮太さんへの思いを語りました。

行方不明となっている亮太さんの父・野村敏明さん(65):
「たった一人で最期を迎えた亮太の気持ちを考えるといたたまれません。亮太、19年間、私たちの子どもでいてくれてありがとう。これからも亮太は、いつまでも家族の一員です」

遺族のほか、地元の関係者など60人余りが参列し、慰霊碑に献花をして、犠牲者の冥福を祈るとともに、安全への誓いを新たにしていました。

次男・真友さんを亡くした・荒井寿雄さん(83):
「残念だ、悔しいという気持ちは死ぬまで続くと思います。重傷でもいいから帰ってきてほしかった。きょうもそうです」

次男・祐樹さんと婚約者の由紀さんを亡くした・所清和さん(63):
「私は11年間、年を取りました。でも祐樹は26歳のまま。多分、11年前もこんないい天気の中、由紀ちゃんと2人で登って噴火にあった。それが残念です。私としては風化してしまうのが一番嫌で今の子たちが大きくなった時に御嶽山は噴火したんだと継承していただきたい」

長野放送
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