医師が亡くなったあと「空き診療所」となっていた米沢市の建物に、新たなクリニックがオープンすることになった。近くに病院が少ない場所だけに住民からは期待の声が聞かれた。
米沢市内の診療所に張られた「貸し医院」の文字。
米沢市では、「医師の高齢化」や「後継者がいない」などの理由で、この5年間でじつに13軒の診療所が廃業していて、「街の開業医不足」は徐々に深刻さを増している。
こうした中、2025年2月に医師が亡くなり「空き診療所」となっていた建物に、10月1日新たなクリニックがオープンすることになった。
今回、ここで新たに開業するのは、穂坂雅之医師。
穂坂医師は、米沢市にある総合病院・三友堂病院で院長も務めた大ベテラン。
退職後は、出身地の東京に戻って開業する予定だったが、米沢市の医師不足を心配し、残って開業することを決めた。
(ほさか窪田クリニック・穂坂雅之医師)
「閉院するところが多く、新規の開業や継承がなく、ぜひこっち(米沢市)で開業してほしいというのが始まり。特にこの地区は医師がいらっしゃらなくて、米沢市の北部、ここでやらせていただこうと」
1日にオープンする「ほさか窪田クリニック」には、内科・整形外科・リハビリテーション科の3つの診療科がある。
週末に開かれた内覧会には、たくさんの地域住民も参加。
近くに病院ができることを喜ぶ声が聞かれた。
(地元住民)
「みんな待っていたと思います。本当に嬉しいです」
そして穂坂医師の決断を、地元企業も強力にバックアップする。
2月に亡くなった前任の医師の時代から、この診療所の土地と建物を提供してきた地元企業「ハイメカ」。
穂坂さんの希望に沿って院内をリフォームするなど、今回も、全面的に支援する。
(ハイメカ・横山千広社長)
「諦めていました。こういった状況(再度の開院)になることを。地域の方だけではなく、米沢市内の人が大勢利用するようになれば」
さらに、医師不足に危機感を持つ行政からも支援を受ける。
米沢市は2024年、病院の「新規開業」や「継承」を支援する補助金を創設。
穂坂医師はこの適用第1号として1000万円の支援を受けた。
(ほさか窪田クリニック・穂坂雅之医師)
「(補助金の)第1号もいただいたので、なんとか上手く経営して多くの先生がこの地を選んで開業・継承していってほしい」
地域医療の課題解決について1つのヒントを与えてくれそうな新たなクリニック。
1日、開業を迎える。