コメの不足や価格高騰が続く中、新庄市の農林大学校で“ある実験”が行われている。「山形のおいしいコメを安定供給したい」という学生の挑戦とは?
(農林大学校・黒澤碧佐さん〈稲作経営学科2年・東京都出身〉)
「今回(田植えしたのは)左奥から5月16日、6月2日、6月16日、7月2日。4つの作期に分けて試験を行っている」
2年生の黒澤さんが取り組んでいるのは、「はえぬきの晩植栽倍」。
地球温暖化で猛暑の夏が繰り返される中、「登熟期を秋に近づければ、高温障害を回避できるのではないか」。
黒澤さんの見立てはこう。
(黒澤さん)
「収量は一番最初(5月16日)例年通りに植えたのが一番多くなると思うが、今年の夏も結構暑い時期があったので、もしかしたら遅らせて植えた稲の方が品質が良いという結果になるかもしれない」
晩生品種とはいえ、6月中旬から7月上旬に「はえぬき」の田植えを行ったのは開学以来、初めての試み。
(農林大学校・二瓶博行教授)
「(7月の田植えは)ちょっと遅すぎる気もするが、品質も収量も一定程度確保できるなら導入する意義はあると思う」
タンパク質などの成分分析や食味の調査も行い、試験結果を「卒論」にまとめる黒澤さん。
ゆくゆくは…。
(黒澤さん)
「実家は農家ではないが、農業に携わる人が減る中で、農業に関わりたいと思いここに来た。就農する時、今回の経験を生かしておいしいコメを効率良くたくさん作ることに繋げていきたい」
コメ不足や価格の高騰、後継者不足…。
日本の農業が抱える課題解決にもつながるかもしれない黒澤さんの挑戦は続く。