アメリカ軍岩国基地で25年ぶりに行われた空母艦載機部隊の離着陸訓練「FCLP」が終わりました。
鳴りやまない騒音と約束を守らない運用に苦情は1000件以上…基地との共存を掲げてきた岩国の将来への影響は?
7日間にわたって岩国のまちに響いた激しい騒音…
【岩国市・福田良彦市長】
「訓練が市の強い要請にもかかわらず行われたわけでありまして、誠に遺憾であり大きな憤りを禁じ得ないという」
福田市長は29日の会見で、”憤り”を口にしました。
【竹内記者】
「今まさにFCLPが行われている。体に響くような轟音。手元の騒音計は100デシベルを超えている」
今月17日から25日まで実施された、空母艦載機部隊による離着陸訓練「FCLP」
通常、太平洋上の硫黄島で行われますが火山活動が活発になっていることからアメリカ軍は訓練の予備施設としていた岩国基地で実施すると通知。
福田市長は今月16日、防衛省などに対し、市民に一層の負担を強いるため「断固受け入れられない」と中止を要請しました。
しかし、その翌日から、訓練は強行されました。
さらにアメリカ軍は、事前に通告していた訓練時間を大幅にオーバーして連日飛行を続け、「行わない」としていた祝日の訓練も実施しました。
【岩国市民】
「テレビの声が聞こえないよね、うるさすぎて。岩国でやってもらいたくはない」
「回数は少なくしてほしい、できるだけ。音がうるさい」
これまで、”基地との共存”を掲げ、艦載機部隊の移駐などの負担の受け入れながら、交流を重ねてきた岩国市。その方針への影響は…
【福田市長】
「すぐに信頼関係が一気にすべてが崩れるということまでは考えておりませんが、今回(FCLPが)実施されたことで、基地周辺住民にどんな影響があったのか、大きな影響があったということをしっかりと受け止めていただいて、二度と実施をされないよう強く求めていきたい」
■スタジオ
ここからは取材した竹内記者とお伝えします。
今回25年ぶりに岩国で実施されたFCLPは市民生活に相当な影響があったようですね。
【竹内記者】
わたしは空母艦載機が岩国に移駐した2017年から2018年にかけて岩国基地近くに住んでいたのですが、これほど絶え間なく轟音が止まないというのは経験したことがありませんでした。
FCLPは今月17日から25日まで行われました。その間で関連飛行が1348回、市には1064件騒音に関する苦情が寄せられました。
そのFCLPですが、おおむね年に1、2回、岩国から1400キロ離れた無人島の硫黄島で行われるので、通常であれば、市民生活に影響が及ばないように運用されています。
ーーそれが今回火山活動によって硫黄島で実施できなかったということですが、なぜ岩国で行われる事になったのでしょうか?
アメリカ軍は天候の影響などで硫黄島で実施できない場合の「予備施設」として、神奈川の厚木基地東京の横田基地、青森の三沢基地、そして岩国基地を訓練のたびに指定していて、今回予備施設の一つである岩国で行われる事になったのです。
ーーでは今後、再び岩国で実施される可能性はあるのでしょうか?
防衛省はFCLPを恒久的に行う場所として、岩国基地から400キロと硫黄島よりも近い、鹿児島の馬毛島に施設の整備を進めていますが、その完成は2030年の3月末の予定で、完成までの間にまた硫黄島で実施できない状況となれば岩国で行われる可能性はあります。
ーー日米の問題で難しい面はあるが、約束を守るということは当たり前のことですよね。
【コメンテーター:JICA中国・新川美佐絵さん】
約束を守らない相手の方が強いからこそ、市民が黙らないといけない状況が常態化してしまうというのが一番怖いですし、憤りを感じる。
ーー運用ルールをどのように徹底していくか。これもデリケートな問題だが、まだまだ油断ならない状況ですね。
【竹内記者】
岩国で行われた実績ができたからこそ、これからも運用を注視していく必要があります。次回のFCLPは、例年通りの運用であれば来年5月ごろ行われるとみられます。