近年、クマの市街地への出没が増えています。これを受け、9月から新たに市町の判断で市街地でクマに発砲する「緊急銃猟」が可能になりました。これを受けて大野市では28日、県内で初めてとなる訓練が行われました。これからのクマ対策はどのように変わっていくのか、取材しました。

緊急銃猟を想定した県内初の訓練は県が企画し、去年3月に閉校した尚徳中学校の校舎を使って行われました。
   
大野市の担当職員や猟友会のメンバーのほか、大野や福井などの警察署の署員が参加し、中学校の校舎にクマが侵入したとの想定で進められました。
   
猟友会のメンバーがクマを捜すためドローンを飛ばすと、クマが中庭にいることが確認され、市の職員が警察の助言を受けて緊急銃猟の判断を下しました。これを受けて猟友会のメンバーが現場へ向かい、周囲の安全を確認したうえで発砲しました。

鳥獣保護管理法の改正で9月1日から始まった、この緊急銃猟制度。これまでの「管理法」では市街地など人の生活圏に出たクマを銃で駆除できる規定はなく、あくまで警察官職務執行法に基づき警察官の命令で、市街地でのクマへの発砲が可能とされていました。
  
しかし近年は、全国的に市街地など人の生活圏でのクマの出没が増えていることから、今年4月に鳥獣保護管理法が改正されました。人の命を守る「緊急性」や銃猟の弾丸が人に到達する恐れのない「安全性」など一定の条件を満たせば、市町の判断で発砲することが可能になりました。
  
訓練に参加した大野市地域経済部の担当者は「人の命を守る、安全を確保する。それは住民だけでなく捕獲者もそうなので、そういったところを共通認識できたのが一番よかった」と話していました。

この秋は、エサとなるブナの実などの不作からクマの大量出没が予想されています。訓練には大野市以外の市町からも担当職員や警察官が見学に訪れていました。2回目の訓練は10月に南越前町内で行われます。
  
県によりますと、緊急銃猟の導入後も対応のスピードはあまり変わらないとされています。これまでの法律では市街地での発砲で建物などに被害があった場合、誰が賠償責任を負うか明確化されていませんでしたが、法改正後は緊急銃猟で物的被害があった場合は市町が賠償責任を負うとしています。
  
万が一、発砲の際に人に被害が出た場合は、これまで通り国家賠償法に基づいて賠償するということです。

福井テレビ
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