ほぼすべての乳幼児が2歳までに感染するとされているRSウイルス。風邪のような症状が出て重症化すると気管支炎や肺炎を引き起こします。ここ数年のピークは初夏から夏にかけてでしたが、今年は秋がピークだといいます。注意点や予防法を専門医に聞きました。


◆2歳未満の2~3割が重症化

RSウイルスについて福井愛育病院の石原靖紀院長は「呼吸器に感染する代表的なウイルス。症状としては、初めは発熱や鼻水で、咳が出だしてひどくなると呼吸困難でゼーゼーしたり、肺炎になったりする」と説明します。
 
潜伏期間は4日から6日ほどあり、症状が軽い場合は1週間ほどで治ります。ただ、注意が必要なのは乳幼児。2歳未満では約2、3割は重症化し入院が必要になるといいます。
 
「重症化した場合は、下気道感染といって気管支炎や肺炎になる。その場合は、ゼーゼーして呼吸困難になるため酸素投与が必要になり、小さい子供だと人工呼吸が必要になる」(石原院長)
 
乳幼児の中でも特に重症化しやすいのは▼生後6カ月未満▼妊娠37週未満で生まれた
▼生まれつき心臓病がある▼免疫不全の場合です。

◆妊婦には母子免疫ワクチン接種も

治療法については「残念ながら特効薬がないので、対症療法になる」と石原院長。「発熱したら解熱剤、咳が出たらたん切りの薬」と症状にあった薬が処方されるということです。
    
コロナ禍のここ数年、流行のピークは初夏から夏にかけてでした。一方、今年は全国的に8月から9月に感染者が増加。コロナ禍以前の状態に戻りました。今後もRSウイルスに注意が必要です。

「接触感染と飛沫感染なので、コロナウイルスと同じように手洗い、マスク着用が大切。ドアノブやおもちゃの消毒も感染対策として大事」(石原院長)
 
また、妊婦の感染対策も重要です。妊娠28週から36週の間に打つ母子免疫ワクチン「アブリスボ」の任意接種は自己負担費用が約3万5000円と高額ですが、「赤ちゃんが入院すると、付き添いなどで出費がかさみ3万5000円くらいはかかってしまうことが多いので、妊婦さんは接種を考えてほしい」と石原院長は説明します。
 
RSウイルスは、赤ちゃんの場合は家庭内感染が多いといい、石原院長は「兄弟が感染して、家にいる生まれたての赤ちゃんが鼻づまりがあってミルクが飲みにくかったり咳込んでいたりする場合は、早めに病院に連れてきてもらいたい」と話しています。

福井テレビ
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