消防には「通信指令」という業務があります。火災や事故、病気などの緊急時にかけられる119番通報を受け止め、冷静かつ迅速に対応する役割です。29日、その通信指令員の対応技術を向上させるための訓練が鯖江市で行われました。
通信指令員:「火事ですか?救急ですか?」
鯖江・丹生消防組合が初めて行った救急の電話対応訓練には、通信指令員や救急隊員ら合わせて15人が参加しました。
訓練は3つのシナリオが用意され、このうち高齢者施設で80代の男性が食べ物を喉に詰まらせたという通報に対しては、通信指令員らが施設の職員に冷静に指示を出すことなどを心掛けていました。
<訓練のやり取り>
指令員:「車いすから下ろして横にしてください。呼吸どうです?胸とおなか動いてますか?」
施設の職員:「動いてはいると思う。ゴロゴロ言ってる」
指令員:「吸引は、どなたかできます?」
この後、指令を受けた救急隊員らが現場に到着したという想定で、心臓マッサージを行うなど病院搬送までの手順を確認しました。
鯖江・丹生消防組合が今回訓練を行った背景には119番通報の増加があります。
管内での去年の救急出動件数は10年前より約1000件多い3787件で、過去最多を記録しました。高齢化が進む中、夏の猛暑で体調を崩す人が増えていることも一因とみられています。
増え続ける119番通報に対し、通信指令員らの冷静で正確に対応する能力の向上が求められているといいます。
通信指令員の小嶋敏裕さんは「現場の状況は目で見えないので、通報する人の言葉で想像するのですが、なかなか表現が難しい。それを想像しながら考えながらやるのは毎回難しいなと思っている。再度フィードバックして職員と情報共有し、少しでも全体のレベルを上げていきたい」と話します。
消防では119番通報をためらう人も多いとして、迷った場合は「#7119」にかけて相談してほしいとも呼び掛けています。