9月23日は彼岸の中日。

墓参りに行った方も多いのではないだろうか。

少子高齢化が進む中、「墓じまい」など管理が大きな問題になっていることも少なくない。

最新事情を取材した。

札幌市営の平岸霊園だ。

1万2000区画以上の墓所があり、彼岸の中日の23日は大勢の人がお参りに訪れた。

「春と秋に来ています、何十年も」

「私たちと息子と孫で来ました。私たちは墓を守って2代目です。3~4代目までは今のところ大丈夫かなと思っています」(ともに墓参に訪れた人)

墓参に訪れた人
墓参に訪れた人
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揺れる「墓を継ぐ」意識

少子高齢化が進む中、墓の管理や維持について考え方にも変化が生じているようだ。

「男の子が生まれて考えるようになりました。『自分が墓を継いでいくんだ』と。お金もかかり維持費もかかると聞くので、それなら別になくてもいいと思ってしまいます」

北海道民の男性
北海道民の男性

「父親は墓はないけれど、土地だけは買っている」(ともに北海道民)

こちらの姉妹は、父親が墓を建てる準備をしているという。

北海道民の姉妹
北海道民の姉妹

「墓いらない」管理の負担を懸念…

しかし。

「部屋の仏壇に手を合わせてくれればいい。この土地に住み続けていれば別だが、転勤であちこちに行って墓の管理ができないとかわいそう」(北海道民)

こちらの夫婦は札幌市内に墓があるというが。

「継ぐ人がいない。これからの時代は墓はいらないと思う」

「いらないというわけにはいかないと思うが、管理や継ぐ人がいない家は大変」(ともに北海道民)

墓を守り続けることが負担になるケースも多いようだ。

「霊園ではこのように『墓じまい』しているスペースがあります」(有田 慈彦 ディレクター)

墓じまいをしているスペース
墓じまいをしているスペース

増える「墓じまい」

墓石を撤去し、墓所を更地にして使用権を返還する「墓じまい」だ。

平岸霊園など札幌市が管理する墓地では、「墓じまい」の件数が2014年から10年間で3倍以上に増えている。

「墓じまいをした人の遺骨の移し先として、札幌市では合同納骨塚という合葬墓があり利用が増えています」(札幌市 施設管理課 藤田 賢一 課長)

合同納骨塚という合葬墓
合同納骨塚という合葬墓

札幌市の合同納骨塚は永代使用料が1体につき9100円で、管理費などの料金はかからない。

申請者が札幌市民であることが条件だ。

その他にも、最近増えているのが。

「問い合わせの6~7割は樹木葬です」(石狩はまなす墓苑 鈴木 美知代さん)

樹木葬
樹木葬

最新トレンド“樹木層”

こちらの霊園ではプレートの下に遺骨を納め、周囲がさまざまな草木で彩られる。

1体あたり34万円で永代供養され、それ以外の料金はかからない。

一般的な墓を建てるより比較的割安で、管理をしてもらえるので人気だということだ。

また、現在建設中のペットと一緒に入れる永代供養の墓も、問い合わせが相次いでいるという。

建設中のペットと一緒に入れる墓
建設中のペットと一緒に入れる墓

継ぐ人を考えて選択を

「家族の一員としてペットと過ごしている人も多いので、ついのすみかもペットと一緒に入りたいという人も多い。問い合わせも樹木葬と並ぶくらい多くなっている」(鈴木さん)

自分の入る墓をどうするか。

墓事情に詳しい専門家は、将来管理する人のことを考えるべきだという。

「誰かが継いでいく墓を買うのか、継がない一代限りの墓にするのかで異なる。自分以外の誰かが墓を守っていくことになるので、守っていく人がどういう形で守っていきたいかを考慮する必要がある。継ぐ人がいない場合は一代限りなので、自分が入りたい所を選べる。そうだとしても自分以外の第三者に遺骨を運んでもらわないといけないので、その人たちに託せる場所を選ぶのがいい」(葬送・終活ソーシャルワーカー 吉川 美津子さん)

墓をどう維持し管理していくのか、大きな問題だ。

墓の維持・管理をどうしていくかが問題
墓の維持・管理をどうしていくかが問題
北海道文化放送
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