北海道で暮らす働くパパの1日に密着するパパドキュ。

 こども食堂を運営するパパの登場です。

 活動メンバーは全員、子育て中のお父さんという「お父さん食堂」の裏側を追いました。

 今回の主役パパはゆうきさん(42)札幌市のコールセンターで働いています。

 家では5歳の女の子のパパ。ヘッドマッサージ師の妻かずよさんは土日に仕事が入ることが多く、休日はパパが主に家事育児を担当。


 実は本業のかたわら、こども食堂を運営しているゆうきパパ。

 2ヶ月に一度のお父さん食堂が開催される休日の1日を観察します。

 午前7時25分。「父ちゃんの右手はどっちだ?」と遊びながらドリルに取り組む長女に教えるゆうきパパ。

 「パパのほうが教えるのがうまい。私だとあまり納得してくれない」とママ。2人で遊んでいる間にママはゆっくり身支度します。


 7時35分、朝食に長女の好きなホットサンドをつくろうと思ったら、「父ちゃん、わたしパンとジャムの方が好き」というので、急遽変更。

 大人用はキャベツモリモリのホットサンドです。


 キャンプでよく作るホットサンドが思ったより簡単で、家でもよく作るのだそう。

 コールマンのホットサンドイッチクッカーは、コンロで手軽に焼けて洗いやすいのもお気に入りのポイント。

 仕切りがあってホットサンド以外の調理にも使えるので、朝食作りに重宝しているそう。


 朝食を食べ終わると、パパはソファーでひと休憩。

 「(パパは)洗い物はあまりしません。嫌いみたいです」とママが洗い物。でもこれも夫婦の中ではちょうどいい役割分担みたい。

 「私は洗い物がそんなに嫌いじゃない。人それぞれできることをすればいいかなと。私は料理があまり好きじゃないから」とママ・かずよさんは話します。


 午前8時30分、身支度をして買い物に出発。

 何やらメモを見ながらお買い物。ネギ、みょうが…どんどんカゴに入れていきます。


 あっという間にカゴ2つがいっぱいに。

 3人家族の買い物にしては量が多すぎると思ったら…。


 実はゆうきさん、本業のかたわらでこども食堂の運営を行っているんです。

 活動メンバーはなんと全員子育て中のパパたちというNPO法人「ここちち」。パパたちが料理を振る舞うその名も「お父さん食堂」。


 代表の岩渕聖矢さんは3児のパパ。

 子育ての悩みや不安を共有できるお父さんの居場所を作りたいとの思いで4年前にサークルを立ち上げ、親子で参加できるイベントを開催。

 パパ仲間の輪を広げてきました。


 ゆうきさんが代表と出会ったのは長女がまだ1歳のころ。

 偶然同じマンションに住んでいたことで知り合い、同世代の子供を育てるパパ同士、意気投合したそうです。

 「代表と出会った時、お父さんサークルでこぢんまりと『公園で遊びましょう』から始まって、お父さんも家事とかやっていかないといけない時代なのでそういう仲間ができれば楽しい」とゆうきさんは話します。


 この日は2ヶ月に一度の「お父さん食堂」の開催日。

 元々料理人として働いていたゆうきさんは食材の買い出しと調理を担当しています。


 「あと何が必要?」ともえみちゃんに確認するパパ。

 長女が手書きのメモを見ながら確認。

 できるだけ飽きさせない工夫をしながら、買い物もゲーム感覚で。

 限られた運営資金で何とかやりくり。コスパのいいドン・キホーテがお気に入りだそう。


 お父さん食堂の会場は、札幌市北区にある新川地区会館。

 町内会のボランティアのお母さんたちが料理を手伝ってくれます。

 メンバーのパパもおにぎり作り。


 同時に6個のおにぎりを作れる新兵器を導入。「形がそろっているとおいしく見える」と次々とおにぎりを作っていきます。

 全部で10品ほどの料理をバイキング形式で並べるそう。

 バタバタと準備に追われ、遊びに来たパパにも手伝ってもらいました。


 正午に「お父さん食堂」がスタート。

 この日は夏の特別企画として、縁日スタイルで開催。

 射的、ヨーヨー釣り、軽食などなど、何と全て無料で提供します。


 「おいしかった」「24杯、かき氷」と笑顔の子どもたち。予想以上の大盛況に、運営スタッフも大忙しです。

 「大盛況ですね」と聞くと「大盛況と言わないよ。大混乱」とパパたち。

 大学生のボランティアが、スタッフの子どもたちの面倒を見てくれます。「いなかったら僕はこんなに動けてないので。いつも遊んでもらえるから息子たちも『お兄ちゃん!』みたいな感じで」と代表の岩渕さん。


 ゆうきパパは、流しそうめんを担当。

 「店長~、そうめんが止まっています」と言われながらも一生懸命。

 ゆうきパパも子どもたちも楽しそう。


 子どもを連れたパパの姿が多いのもお父さん食堂の特徴。

 「地域や自分の子どもたちにも良い経験になる。人と人との繋がりを感じられる場所」と話すパパも。

 「緑のシャツを着て一緒に手伝えたら。一生懸命やっているしさ。『待ってるよ』と言ってくれたので頑張ります」と参加者から新しい仲間も生まれそうです。


 最初は軽い気持ちで参加したお父さん食堂。

 今では必要とされていると感じられる、仕事と家庭以外の第3の居場所になりました。


 大盛況のまま終了し、午後3時30分に撤収。

 午後6時、運営チームで打ち上げ。
 
 何も食べていないパパたち。

 子ども食堂でなにかしら食材が余ると思っていましたが、完売。

 急遽、冷凍のピザやチャーハンを用意して盛り上がりました。


 ママの役割は完璧にこなせなくても、パパにしかできないことがあると話します。

 「シングルのお母さんたちに関して、子どもがお父さんを求めることってあると思う。力強い遊びとかをできれば。シングルマザーの子どもと僕らが遊ぶ。『お父さんと遊ぶのってこういう感じなんだね』と言われて、力強い遊びが求められてるんだなと思いましたね」とゆうきさん。


 子どもたちのために「みんなのお父さんになれればいい」。

 パパにしかできないことを、子どもたちのために続けていきます。

北海道文化放送
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