冬に流行るはずのインフルエンザがこの暑さの今、猛威をふるっている。
なぜ、まだ暑い今、インフルエンザが流行しているのだろうか。
実は、インフルエンザは「冬の感染症」ではないのだ。
開発が進む痛くない「貼るワクチン」も取材した。

■昨年より2か月早く「流行期」入り 学級閉鎖も続出
「夏」が終わらない、京都。
ことしの猛暑日と熱帯夜の日数が、観測史上初めて、ともに60日を超えた。
こんなにも暑いのに、実はいま…。
記者リポート:京都では早くもインフルエンザの流行期入りが発表されました。
京都府では先週、インフルエンザの患者数が1医療機関あたり「1」を超え、なんと去年よりおよそ2か月も早く、流行期入り。
関西の学校でもインフルエンザにより、学級閉鎖となるクラスも出ているのだ。

■「夏にこの患者数は異常」と医師
京都市内のクリニックでは、続々と発熱などで診察に訪れる人が…
しかし、例年と違うというのが…
御所南はらしまクリニック・原島伸一院長:1日に多い時は数人出るようなインフルエンザが夏に出るということは過去になかった。異常といえると思いますね。
新型コロナとの同時検査が進んでいることや、マスクの着用率が下がっていることなど、理由はいくつかあるものの…暑い季節の流行は、来年以降も続く可能性があるという。

■決して「冬の感染症」ではない
WHO=世界保健機関の調査によると、東南アジアの熱帯・亜熱帯地域では、インフルエンザのピークは7月に。
決して“冬の感染症”ではないのだ。
御所南はらしまクリニック・原島伸一院長:京都なので(東南アジアなどから)旅行者が来られて、感染しているかはわからないけれども。(インフルエンザは)本来夏に出てもおかしくないウイルスということですよね。

■ポイントは「日光」。暑すぎることが流行の原因?
また、暑さがこの流行に関連しているのでは?との情報が。
大阪公立大学大学院生活科学研究科・桑原晶子教授:すごく暑い日が続いて、なかなか外出しなくなってくる。そうすると本来夏に手足を出して日光を浴びるということで、皮膚でビタミンDがたくさん作られるはずの機会が少なくなってしまう。
ポイントは「日光」だという。

■外出が減り免疫力低下か
免疫力を高める効果があるビタミンDは日光を浴びることで生成される。
しかし暑さで外出が減り、日光を浴びなかったことで免疫力が低下した人が増えた可能性があるというのだ。
実際に高齢者を対象にした調査では…
大阪公立大学 大学院生活科学研究科・桑原晶子教授:明らかにビタミンDが足りてない状態がある方はどんどん(感染症に)かかっている。ビタミンDの栄養状態というところは免疫感染のところでも重要と示せる。

■予防接種の予約が早くもいっぱいに?!
そして、インフルエンザの予防策といえば…ワクチン接種。
しかし、京都市内のクリニックでは…
御所南はらしまクリニック・原島伸一院長:内科のインフルが予約してきた人、もう1枠しか開いてませんね。インフルエンザが流行していることを皆さん、キャッチされていて、例年にはここまで初日からはなかったので。
来月から始まる接種の予約が、早くも埋まり始めているという。

■痛くないワクチン接種
ワクチンを打つのは痛い…そんないや~なイメージを持っている人も多いかもしれないが、実はいま、“痛くない”ワクチンの開発がいたるところで進んでいるのだ。
去年、接種が始まり話題となったのは、鼻にスプレーするタイプのワクチン「フルミスト」。
母親:全然いたくなかった?
子供:うん。
母親:よかったね。お水がシュッてきたの?

■腕に「貼るだけワクチン」開発中
京都市にある製薬会社「コスメディ製薬」が開発を進めているのが…
コスメディ製薬株式会社・権英淑社長:これが貼るワクチンを想定したものになります。
腕に「貼る」だけのインフルエンザワクチンだ。一体どういう仕組みなのか?

■超極細の針で皮膚から注入
コスメディ製薬株式会社・権英淑社長:先端に黄色いのついているけど、そこに薬物を塗布して、貼るだけで(成分)が皮膚の中に入る、そういった仕組みです。
マイクロニードルという細かい針から、ワクチンの成分が肌に浸透していく仕組みだ。
先端の細さは、カメラでピントを合わすのも難しいほど…
コスメディ製薬株式会社・権英淑社長:(針の長さは)1ミリ以下ですので、皮膚の浅い部分に入れるので、痛みは緩和されます。

■「全然痛くない!」記者が体験
本当に、痛くないのか…?記者が、貼る体験させてもらうことに。(ワクチン成分は入っていません)
パッチの形になっているので、こういう形で置いて軽く押す。
記者:全然!注射みたいにチクっていう痛みは全くないですね。

■「子供が泣くのを0にしたい」 夢のワクチンの実用化待たれる
注射嫌いにやさしい、まさに夢のワクチンだが、実用化には、まだ7年から8年かかるとのこと。
コスメディ製薬株式会社・権英淑社長:注射針を見るだけで泣く、子供が泣くのを0にしたい。そういう思いの使いやすい自分で投薬できる安心して使えるというのを目指したい。
ことしはすでに猛威をふるっているインフルエンザ。
早め早めの感染対策が大切だ。
(関西テレビ「newsランナー」2025年9月18日放送)
