GoToイートに落とし穴 「トリキの錬金術」その仕組みは?

10月8日、千葉県ではGoToイート柱の1つであるプレミアム付き食事券の販売が始まった。

新型コロナウイルスの影響で打撃を受けた飲食店を支援するGoToイート。ところが今、決して助けにはならないケースが相次いでいる。

1品298円の低価格が売りの居酒屋・鳥貴族で問題となっているのが、「トリキの錬金術」と呼ばれるポイント稼ぎ。

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そのカラクリはこうだ。

GoToイートでは、グルメサイトでのオンライン予約(夕食)すると1人1000円分のポイントが受け取れる。この仕組みを利用し、鳥貴族で税込327円の焼き鳥だけを注文すれば、差し引き673円分の儲けが出るというもの。

GoToイートには回数制限もないため、これを10回繰り返せば6730円分のポイントを荒稼ぎできることになる。

西村康稔​経済再生相:
若い方は特に昨日も議論がありましたけれども、ああいうポイントをうまく取得すると、活用するということも考えつくようです

SNSでは「錬金術のためにトリキ行こうかな」「GoTo鳥貴族で大儲け」などといった投稿が見られた。

イット!取材班は、2店舗をはしごしてトリキの錬金術を実践した人に話を聞くことができた。

「トリキの錬金術」を実践した人:
2店目というのは、普段だったらまずやらないことです。せっかくなのでもう1店舗行ってみようかな、という気持ちになったのは事実です。GoToイートでは(家族3人で)6000円(のポイント)です。お得感は非常にありましたね。

店からは悲鳴…政府はポイント還元条件見直しへ

安さを売りにする東京・新宿にある居酒屋からも悲鳴が聞こえてきた。

この店で同じことをした場合、お通し代の418円(税込み)と55円(税込み)のハイボール1杯で、差し引き527円分のポイントを受け取れる計算。

店側は、予約サイトに1人あたり200円の手数料を支払う必要があるため、経費分を引くと儲けが出ず、むしろマイナスになってしまうという。

居酒屋それゆけ!鶏ヤロー! 新宿歌舞伎町店・佐藤涼さん:
ポイントのためなら1杯だけで帰るお客さんは絶対います。お客さんが1品だけではなく、3品以上やコース限定など作ったほうがいいと思います。

実際、この錬金術がネットで話題となったのをきっかけに1人客の予約が増加した居酒屋もあるという。

きっかけとなった鳥貴族は、今後も同様のポイント稼ぎが相次ぐ恐れがあることから、席のみの予約をGoToイートの対象外とし、1635円などのコース料理に限定することにした。

こうした中で政府は8日、ポイント還元の条件を見直す考えを示した。

農林水産省は、予約の条件を一定の金額以上にしたり、コース料理のみにすることなどの対応策を各飲食店にとってもらうため、13のグルメサイトを通して要請すると発表。

「トリキの錬金術」は、これにより封印されるのだろうか。

(「イット!」10月8日放送分より)