各地でクマの出没が相次ぐ中、クマの目撃件数を大幅に減少させた自治体がある。

過去の教訓を踏まえた対策だ。

北海道南部の七飯町で9月10日、体長約1メートルのクマが出没した。

クマは住宅のそばの木に登ったり、ナシを食べるなどして居座り続ける。

そして約3時間後。

「今発砲音が聞こえました。全部で3発、発砲音が聞こえました」(小町麻紀カメラマン)

クマが駆除された場所は福祉施設「ぽぽろ館」のすぐ近くで、そこから約1キロの範囲には保育園や高校などがある。

道路を横切るクマ
道路を横切るクマ
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「あぶない、あぶない。でかい、でかい」(ハンター)

「クマがいます。クマがフェンスに上っています」(佐藤健カメラマン)

今から7年前、北海道後志地方の島牧村で1頭のクマが出没を繰り返した。

「パンパンパン」(爆竹音)

爆竹を鳴らしても、クマは逃げようとしない。

駆除されるまでの約2か月間にわたって、クマは住民の暮らしを脅かした。

村はこの問題を機に対策を講じる。

「小学校の隣に草やぶがありますが、校舎の周りを囲うように電気柵が張りめぐらされています」(阿部空知記者)

2か月続いた島牧村のクマ騒動
2か月続いた島牧村のクマ騒動

クマが出没した場所を中心に設置された電気柵。

触れると電流が流れる。

住宅の周りなどを切れ目なく囲うことで、クマの侵入を防いでいる。

「村民が住んでいる住宅を守る。そこがボーダーラインになるように設置している」(島牧村役場 栗田翔さん)

電気柵はあわせて約18キロもの長さに及んでいて、村では今後も必要があれば増設するとしている。

しかし、海と山に挟まれ、狭いエリアに住宅が点在する島牧村ならではの難しさもある。

「本来は電気柵と住宅を離したいが、住宅の裏がすぐ山だったり崖という場所が多いのでどうしても住宅の近くに設置せざるをえない」(島牧村役場 栗田翔さん)

村をぐるりと囲む電気柵
村をぐるりと囲む電気柵

電気柵の設置で、7年前には年間100件以上あったクマの目撃情報は、2024年には約20件にまで減少した。

「電気柵ついてからやっぱり安心」

「定期的に草も刈っている」(いずれも島牧村の住民)

課題もある。

電気柵の費用は人口1200人余りの村には大きな負担になっている。

「大きいのが電気柵の維持管理にかかる費用が大きい。物価だったり賃金が上がっていることによって、維持管理にかかる人件費がどうしてもかさむ。ものによっては買い替えも出てくる。今後の費用面は考えていかないといけない」(島牧村役場 栗田翔さん)

電気柵の設置は大きな負担
電気柵の設置は大きな負担

また島牧村の電気柵は雪が積もると効果がなくなってしまうため、村は毎年12月ごろに一度撤去し、4月ごろに設置し直している。

定期的な草刈りやハンターの人材育成を含め、クマ対策の予算は2025年度、2000万円を超えた。

「住民がクマに対してちょっとすごい怖い気持ちが増幅している。ある程度は(クマ対策に)力を入れていく必要がある」(島牧村役場 栗田翔さん)

7年前、クマに翻弄された島牧村。

今後も教訓を生かした取り組みを続けていく方針だ。

自治体への支援は
自治体への支援は
北海道文化放送
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