秋の味覚、あわら市の特産のサツマイモ「とみつ金時」の収穫が始まっています。猛暑や価格下落といった農家を取り巻く厳しい現実もありますが、未来へ味をつなぐために農家の挑戦が続いています。

12日午前9時、あわら市内のサツマイモ畑では、農家が収穫に汗を流していました。甘みが強いことで人気の「とみつ金時」の収穫は8月後半に始まり、これから最盛期を迎えます。 
 
取材した「フィールドワークス」では、12ヘクタールの土地で栽培し、年間約700トンを収穫しています。
 
ただ、9月になってもおさまらない暑さが農家の頭を悩ませています。吉村智和代表は「30度を超えると、サツマイモが直射日光で日焼けして傷むので、日中は休みながら朝晩の涼しい時間に収穫するようにしている」話します。

収穫の合間に、特別に焼きイモを用意してくれました。
    
田島嘉晃アナウンサー:
「焼き立てです!」
  
熱々のサツマイモを半分に割ると、きれいな黄金色が食欲をそそります。 
   
「ほくほく!ねっとりしていて、甘さが口に広がります」(田島アナ)

おいしさの秘密は「キュアリング貯蔵」と呼ばれる貯蔵方法にあります。
  
吉村代表がその貯蔵庫に案内してくれました。「サツマイモを35度、湿度95%以上の低温サウナのような状態で90時間寝かせることで、でんぷんが糖に分解されてさらに甘味が引き出されます」(吉村代表)
  
10の部屋の貯蔵庫で最大600トンを管理。
徹底した温度と湿度の調整で甘さを一層引き立てるほか、長期保存にも効果があります。

一方、価格の維持や販路の確保など、 農家を取り巻く環境は厳しさを増しています。特に、生産量の多い茨城県や千葉県などから大量にサツマイモが出荷されると、とみつ金時の価格が下がる年もあり、農家は生産量を減らして対応しています。
  
「最近はサツマイモの供給が過剰気味で販売に苦戦しているが、農村の維持を考えると、一回生産量が減ってしまうと復活させるのは大変なので、畑を維持し生産量をできるだけ減らさないように今後も努力し、続けたい」(吉村代表)
  
産地間競争に加え、後継者不足や物価高など課題は尽ない中、農家はこの土地ならではの味を未来へつなごうとしています。 
   
とみつ金時は11月上旬まで収穫が続き、県内の直売所やスーパーに並びます。

福井テレビ
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