教師の関与が疑われる盗撮事件が相次いでいます。
関西では9日、学校内で生徒が着替える様子を盗撮した疑いで、教師2人が逮捕されました。
なぜ、ここまで盗撮が横行するのか?その実態を取材しました。
■「これカメラじゃね?」生徒が教室で“隠しカメラ”発見
【カメラを見つけたと話す生徒】「自分の教室でモバイルバッテリーみたいなのが、パンフレットが重なっているところにはさんであって、これカメラじゃね?と思った」
京都府長岡京市の中学校に通う生徒が、自身の教室で見つけたのは、盗撮用のカメラ。
仕掛けたと疑われているのは、この学校の教師です。
9日、性的姿態等撮影の疑いで逮捕された、中学校の教師・松岡寿俊容疑者(39)。
松岡容疑者は9月5日、勤務先の中学校で教室にモバイルバッテリー型のカメラを設置し、女子生徒5人が着替える様子を撮影した疑いがもたれています。
【松岡寿俊容疑者】「女の子たちの下着を撮影するために、カメラを設置したことは間違いありません」
【中学校の生徒】「めちゃめちゃいい先生やった。優しい先生やったんで衝撃です」
【中学校の生徒】「元顧問やった。一緒に練習したこともあったりした。えーっ!?みたいな、言葉出ない」
■女子が着替えている教室だった
掃除の時間に生徒がカメラを見つけ発覚したという今回の事件。
発見した生徒によると、「カメラは隠すように設置されていた」といました。
【カメラを見つけた生徒】「パンフレットの冊子みたいなのが何枚も重ねて置いてある。そこの一番下に(カメラが)挟んであって」
(Q.隠すように置いてあった?)
【カメラを見つけた生徒】「カメラはちょっとだけ出して、本体はほとんど隠れていた。時間割を確認したら体育の時間だった。女子が着替えている教室だったので、結構、大ごとになるのかなって思って、先生に提出した。ちょっと怖かったです」
校長によると、松岡容疑者は逮捕の前日に「盗撮をした」と、自ら打ち明けたということです。
【中学校の校長】「校長室に本人が直接参りました。その際『自分がやった』と、私に伝えた次第です。極めて憔悴(しょうすい)しきった様子でした」
■大阪では水泳の授業のため着替えをしていた男子児童3人を盗撮した容疑で教師逮捕
京都での逮捕に続き、大阪でも…。
【記者リポート】「逮捕された小学校教員の男をのせた車が警察署から出てきました」
10日、送検されたのは東大阪市の小学校の教師・中本尚真容疑者(26)。
【中本尚真容疑者】「教師という立場を利用して盗撮しました」
勤務していた小学校で、水泳の授業のため着替えをしていた男子児童3人を盗撮し、児童ポルノを作製した疑いがもたれていて、警察によるとスマートフォンには、幼い男の子の裸などを撮影した写真や動画が、大量に残されていたということです。
■SNSで拡散 “隠語”で共有される盗撮動画
ことし6月には、複数の教師が児童の盗撮画像などをSNSで共有していたとみられる事件も明るみに出ました。
文部科学省によると、2023年度に痴漢や盗撮などで懲戒処分などを受けた教職員は32人にも上ります。
なぜ教育現場での盗撮が後を絶たないのか?
取材班はネット上の“盗撮画像”や“リベンジポルノ”などを通報するボランティア団体に、実態を聞きました。
【ひいらぎネット 永守すみれ代表】「学校内での着替えの盗撮と思われるんですけども、『いいね』の数が、他のものと比べて多いですね」
これは女子生徒が教室内で着替えをする様子を盗撮したとみられる動画。SNS上で拡散され、再生回数はおよそ1万2000回。
こうした盗撮画像や動画は“隠語”を使って共有されることが多いということです。
【ひいらぎネット 永守すみれ代表】「例えば『“逆さ”好きのためサイトあったら教えて欲しいです』(というSNSの書き込み)。この“逆さ”っていうのが隠語で、スカートの中を下から撮ったもの。例えば、この絵文字も顔が逆さまになってる。これも“逆さ撮り”=盗撮を意味する」
■画像は売買対象に “学校内”は高値がつく実態
被害者が気づかないうちに、多くの人に閲覧されてしまう盗撮被害の実態。なかには、売買されるものもあります。
あるアカウントには、女子中学生を表す「JC」の文字とともに料金が記載され、安いものだと1枚50円で販売されていました。
【ひいらぎネット 永守すみれ代表】「こういうふうに金額と動画のリストが作られています。低単価でもひと月で十何万円を売り上げる。たくさん購入されているということ」
永守さんによると、特に教育の現場で盗撮された画像や動画は、高値で取引されることも…。
【ひいらぎネット 永守すみれ代表】「学校の中で複数が映っているような動画というのは、“やらせ”の可能性がきわめて低い。本物だっていうところで、ある意味プレミアムがついている。最初クローズドなところに投稿していたけど、それが他の人の手によって拡散されて目につくことが増えている」
こうした盗撮画像の売買をめぐっては、ことし5月、温泉浴場で男の子3人の裸を販売目的で撮影した罪で元幼稚園職員の鎌田裕樹被告(38)が起訴され、また、その映像を購入し保存した罪などで、元大学職員の山田光一被告(41)も起訴されました。
■「買い手がいる」ことが拡散の背景 更衣室整備と見守りを
先週開かれた初公判で山田被告は….
【山田光一被告】「自分のように買うような人間がいるので、拡散していくのだと思います」
安全であるはずの学校で繰り返される盗撮事件。対策はあるのでしょうか…。
【ひいらぎネット 永守すみれ代表】「一般教室ではなく、更衣用の部屋を設けて、そこで着替えをするようにする。更衣室の入口の所に、誰が入ったかを見守るための監視カメラを設置しておく」
■安藤優子氏「教師の性善説は現実として崩れた」
ジャーナリストの安藤優子さんは「性善説を前提にしたやり方ではなく厳しい対策を」と話します。
【安藤優子さん】「そもそも教師というのは、子どもを育て、守るという性善説を前提にして成り立っていると、私は大変尊い職業だと思うわけです。だから親御さんも安心して、お子さんを預けて教育をしてもらうっていうことですよね。
でもその前提が、極めて少数かもしれないけれども、現実として崩れたということにも、私たちは目を向けないといけないと思う。すごく嫌なことですよ。
私がアメリカで高校に通ってきた時に、始業ベルが鳴るとガチャッてドアがロックされるんですよ。私も『えっ!?』と思ったことがあるんです留学生だったんで。
でもそれは、やたらに授業中に学生・生徒や教師が、理由なく外をウロウロすることを防ぐという目的が、犯罪防止なんです。
嫌です、監視社会になるのは。
でもそういう前提が今、崩れつつあるという現実を踏まえて、性善説を前提にしたやり方ではなくて、厳しめに対策は立てるべきだと思う。子どもを守るのがまず第一」
これ以上被害を増やさないためにも、抜本的な対策を講じる必要があるのかもしれません。
(関西テレビ「newsランナー」2025年9月10日放送)