長野県は上田市街地を流れる矢出沢川とその支流を県内で初めて「特定都市河川」に指定すると発表しました。行政と地域住民が協働して流域治水の計画を立て、水害の軽減を目指します。
(記者リポート)
「上田市の国道18号のすぐ近く、住宅地を流れている矢出沢川。県は水害の軽減を目指そうと、『特定都市河川』に指定すると発表しました」
県内で初めて「特定都市河川」に指定されるのは、上田市の中心市街地を流れる「矢出沢川」と、その支流の「黄金沢川」です。
「特定都市河川」は、市街化の進展により河川整備だけでは水害を防ぐことが難しい河川が対象で、流域全体で治水対策を推進するために指定します。
県 建設部河川課・金子哲也課長補佐:
「矢出沢川については、本線自体の災害も過去に発生しておりますし、中下流部については上田駅、上田市役所といった重要施設(があり)、市街化が進んでいるという中で都市型の水害が発生していることもあり今回、指定することに至った」
矢出沢川では、2010年8月、大雨の影響で水があふれ、周辺の多くの住宅で床上・床下浸水するなどの被害がありました。近年のゲリラ雷雨でもたびたび浸水被害が発生しているといいます。
流域の住民は―。
住民:
「日常生活で比較的、住民との距離感が近い川なので、2019年の台風の時は『ゴー』という川の流れとかあったので怖かった」
「(2010年の時は)あの橋の網の上から3分の1くらいまで水がいった。ゲリラ豪雨みたいに、ばーっと降ると溢れるんじゃないかという思いはいつもあって、怖い」
河川を管理する県は、2010年度から護岸工事や河道の掘削など整備を進めています。今回「特定都市河川」に指定されると、国や県から重点的に予算が配分されます。
また、県と市、流域住民などでつくる「協議会」も設置され、具体的な治水対策の計画を立てることになります。
また、「特定都市河川」の指定により、2つの川の流域およそ25平方キロメートルも「特定都市河川流域」に指定されます。
この流域では一定の広さの宅地や駐車場を新たに整備する場合、地下の雨水タンクなどの設置が義務付けられます。
県 建設部河川課・金子哲也課長補佐:
「身近な河川で、こういったリスクがあるんですよと。そのリスクに対して、こういった対策が考えられるんじゃないかと話し合うことで、皆さんの理解をいただき、治水対策を進められると思うので、整備の加速化を行っていきたい」
県は今後、他の河川でも必要に応じて特定都市河川の指定を検討するとしています。