住民の憩いの場です。長野市信更町に2025年、地元のリンゴ農家らが秋限定の「喫茶スペース」をつくりました。もともと販売していた手作りアップルパイやお茶などを提供し、早速、地元住民でにぎわっています。
にぎやかな話し声。ここは長野市信更町の喫茶スペース「おやすみ処」。10月から毎週土曜日に開放されています。
手作りアップルパイは300円、お茶やコーヒーは無料で提供。
早速、地元住民らでにぎわっています。
住民:
「(アップルパイは)とてもリンゴの味がして温かくておいしく食べた。こういう場所が夢とも思わず、立派にできたので見に来ておいしいもの食べて良かった。天気も良くて最高」
リンゴの里 信更・石坂妙子会長:
「ここにこんないい広場ができたから、また来て。毎週土曜日にやっているから」
「おやすみ処」をつくったのは、地元リンゴ農家らでつくる有志団体「りんごの里 信更」です。
りんごの里 信更・石坂妙子会長:
「家に閉じこもってしまっているお年寄りも(ここで普段)会っていない人に会って話をしたり、アップルパイを食べながらお茶を飲みながら話をしてもらえたら」
長野市の南西部、いわゆる西山地域にある信更町。
りんごの里 信更・石坂妙子会長:
「これはひょうに当ったところが腐ってきている」
リンゴが特産です。
石坂さんも夫婦で栽培しています。2025年はひょう害もありましたが、比較的順調に生育しているということです。
信更町のリンゴの特徴は?
りんごの里 信更・石坂妙子会長:
「標高が高いから、リンゴの実が引き締まっていること、甘みが多いこと、色づきがいいこと」
町にはオリジナルブランド「山信リンゴ」もあり全国へ出荷されています。
地元の特産をさらにPRしようと、7年前に農家の女性などが集まって「りんごの里 信更」を設立。「工房」をつくり「アップルパイ」の製造・販売も始めました。
りんごの里信更・石坂妙子会長:
「食べて『あーおいしい』と言ってもらえるようなパイ(を作り)と、また買いたくなると、リピーターになってもらいたい。(こだわりは)リンゴの中身から生地から、全部一から手作り」
リンゴは「規格外」のものを使っています。
りんごの里 信更の会員:
「傷の、こういうのはもったいないよね。取ればいくらでも食べられるので加工しています」
作り方を見せてもらいました。
その時に採れる品種を使い、甘さや酸味に合わせてカットの大きさを変えています。
鍋に入れ砂糖とレモン汁などと合わせ約20分煮込み、リンゴのコンポートが完成。これを小麦粉、卵、バターのみで作った生地の上にのせていきます。
週に4日ほど6人から7人の女性が集まり、にぎやかな雰囲気の中、作業が進んでいきます。
そして、オーブンで焼くこと約30分―。
葉っぱの形をしたアップルパイの完成です。
「工房」では「ホール」も販売しています。11月から5月下旬までは市内のスーパーや道の駅などでも購入できます。
アップルパイの製造・販売を始めてから7年。徐々に人気が広まっていき、今年―。
りんごの里 信更・石坂妙子会長:
「軽井沢町でお土産屋を営業している人がいて、(私たちの)アップルパイが一番おいしいと、軽井沢町の土産店に買ってもらおうとみんなで話し合った」
県内有数の観光地・軽井沢町の土産店でも販売してもらうことに。そこで、これまでは期間限定販売でしたが、1年を通して楽しんでもらおうと冷凍のアップルパイも商品にすることを決めました。
そして、新たに業務用の冷凍庫を購入。ただ、冷凍庫が大きかったため外のスペースを整備して設置すると―。
工房の前が「広場」のような空間に。この場所を活用できないかと企画したのが、喫茶スペース「おやすみ処」です。
りんごの里 信更・石坂妙子会長:
「信更町には、みんなで集って話す場所がないので、私たちがここで『おやすみ処』をつくって地域の人や近隣の人も来て、アップルパイを食べて知ってもらえたらと」
さらに、会の課題の1つ「後継者不足」の解消にもつなげたいと考えました。
りんごの里 信更・石坂妙子会長:
「(いずれは)若い人たちがここで働いてもらえたらいい。たくさん宣伝して、(町のリンゴの)おいしい魅力を発信していきたい」
10月から土曜日限定でスタートした「おやすみ処」。この日は3回目の開放でしたが、早くも評判となっていて多くの住民が訪れました。
元の住民にも味わってほしいと自慢のアップルパイを販売。お茶やコーヒーは無料で提供しています。
地元の住民:
「「おいしいです。(こういう場所はどう?)とてもいいです」
地元の中学生:
「味が濃くておいしい。バターの味がして、リンゴの味も甘くておいしい」
子育てのため実家に帰ってきた住民も。
子育て中の母親:
「もともとここで育っているので、おばあちゃん世代の人も知り合いも多く、安心してみてもらえる」
りんごの里 信更・石坂妙子会長:
「同じ町内でも遠くから4人くらい一度に来てくれて、私も久しぶりに会ってとても懐かしかった。(アップルパイを)たくさん買ってくれたり、『おいしい』って(言われて)それが一番良かった。ここが拠点として活性化することを希望します」
信更町の喫茶スペース「おやすみ処」は12月ごろまで毎週土曜日に開く予定です