イギリス各地で難民政策をめぐるデモが相次いでいる。きっかけとなったのは、住宅街に現れた難民ホテル。地元住民から反発の声が上がり、社会を二分する大きな火種となっている。

人気観光地イギリス・エッピング
人気観光地イギリス・エッピング
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ロンドンの郊外に位置する町・エッピング。人気観光地として知られるこの場所で、ある深刻な問題が起きていた。

髙島泰明記者:
ロンドン郊外のエッピングという、街に来ています。閑静な住宅が広がっているんですが、あちらベルのマークが象徴的なベルホテル。今、“難民ホテル”として大きな問題となっています。

亡命申請した男性138人が宿泊するベルホテル
亡命申請した男性138人が宿泊するベルホテル

住宅街の中に佇む1つのホテル。このベルホテルでは、亡命を申請している138人の男性が宿泊している。

ところが、2025年7月、宿泊者の1人が地元の少女に対し、性的嫌がらせを試み訴追されると、住民の不安と反発が一気に高まった。

イギリス各地で立ち退き求めるデモ
イギリス各地で立ち退き求めるデモ

立ち退きを求めるデモが、イギリス各地で行われ、警察官と衝突するなどの事態となっている。
難民ホテルの周辺には、こんな印が残されていた。

髙島泰明記者:
いたるところに赤い十字マークがあります。これは、移民に反対する人たちが、ここはイングランドだと伝えるために書いたものとみられています。

看板や道路の白線など、至る所に書かれた赤いペンキで十字のマーク。難民に“ここはイギリスの土地だ”と伝える意味が込められているという。

エッピングに住む人からは、こんな声が聞かれた。

住人女性:
私は、この静けさと緑のスペースを求めて、ここに引っ越してきました。それだけに、この社会不安や混乱があるのは、非常に心が痛みます

住人男性:
移民はイギリスのパスポートを持っていなければ、来るべきではありませんあのホテルは政府が費用を負担していて、彼らが住むために支払っている

根強い難民への反対の声…申請者は年間11万人を超え、ホテルの費用は1日あたり日本円で約11億円に上る。

その全てが税金で賄われているのも、難民反対の大きな要因となっているという。

それでも...。

色とりどりのリボンとともに“団結と平和はエッピングみんなのもの”というメッセージ
色とりどりのリボンとともに“団結と平和はエッピングみんなのもの”というメッセージ

髙島泰明記者:
社会の分断が問題視される中、こちらには色とりどりのリボンが付けられています。そのメッセージは分断ではなく団結。そして、平和はみんなのものだとそういった意味が込められているということです。

難民ホテルを巡る対立は、イギリス全土に波及し、社会を大きく揺るがしている。

(「イット!」9月9日放送より)

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