鋭くとがった牙に真っ赤に光った目、そして、威圧感たっぷりの形相で唸り声を上げるのは、野生動物撃退装置、その名も「モンスターウルフ」。
クマなどによる相次ぐ被害を食い止めるための切り札として、9月から山形市が実証実験を開始しました。

赤外線センサーで野生動物の動きを感知すると、オオカミの鳴き声やLEDライトで威嚇。
農作物への被害を防ぐのだといいます。

気になる撃退能力は、シカにイノシシ、そしてクマも一目散に逃げていきます。

発する音はオオカミの鳴き声だけではありません。

モンスターウルフの音声:
どこを見ている!この程度でこの僕に勝てるとでも?

動物が同じ音に慣れてしまわないよう、人間の声や銃声など50種類以上がランダムに流れるようになっているということです。

開発したのは北海道のLEDメーカー。
これまでに全国の自治体や農協などで約330台導入されているということです。

山形市は今回、実証実験を3カ月ほど行い、効果が認められれば農家への導入支援を検討するとしています。

山形市農村整備課・高橋知好課長(高ははしごだか):
クマ・イノシシ・サルなど様々な鳥獣に効くということで期待しています。市民の安全安心が第一。

そうした中、先週から住宅への出没が相次いでいたクマ被害の現場で新たな動きがありました。

5日夜、宮城・加美町の住宅に侵入したクマの映像を住人が撮影しました。
クマは家の風よけ室に侵入し、鳥の餌が入った青いバケツを持ち去ったということです。

住人:
音がうるさいのでおかしいと思って、カーテン開けたらここにいて、目と目が合って後ずさりした。

こちらの住宅には、8月末から何度もクマが侵入。
飼っていた七面鳥など13羽がクマに食べられる被害に遭っています。

住人は侵入箇所に板を張る対策を講じていましたが通じませんでした。

住人:
(クマは)ここから入ってきた。曲がってるけど。鳥のエサを食べながら荒らして、こっちから出た。簡単に入ってくる。こんなことをしても無駄。

住人が不安を募らせる中、町と猟友会は付近にわなを設置。
その結果、1頭のクマが7日にわなにかかり捕獲されました。

クマにはGPSのついた白いテープが貼りついていたことから、これまでに目撃されてきたクマと同じ個体とみられるということです。

捕獲を受け、住人はFNNの取材に「一安心です」とコメントしました。

しかし、捕獲後も約3km離れた場所で新たにクマが目撃され、町が注意を呼びかけています。