鹿児島市に本社を置く流通大手のニシムタが、納入業者に協賛金を負担させていたなどとして、公正取引委員会から独占禁止法違反の疑いで行政処分を受けたことが明らかになりました。

公正取引委員会は2025年4月にニシムタに立ち入り検査を行っていて、ニシムタは納入業者50社に約7億3000万円の返金を行うなどとした計画を公正取引委員会に提出し、5日承認されました。

公正取引委員会から独占禁止法に基づく行政処分を受けたのは、鹿児島市に本社を置き、鹿児島、宮崎、熊本に39店舗のホームセンターなどを展開する流通大手、ニシムタです。

公正取引委員会によりますと、2022年3月以降、ニシムタと納入業者が契約書で合意した上で、ニシムタが「商品管理費」や「物流支援費」などの名目で、納入額の1%前後の金額を徴収していました。

また、新店舗の開店や店舗を改装した際に各業者に人員の派遣を要請し、納入業者側に日当や交通費などを請求するようにしていましたが、実際には請求しない業者が複数ありました。

これらの行為は2025年4月に行われたニシムタ本社への公正取引委員会の立ち入り検査で明らかになりました。

公正取引委員会はたとえ契約書で合意していたとしても「商品管理費」や「物流支援費」の根拠や使い道が明確でないとしました。

また、本来はニシムタが行うはずの業務で派遣費用を負担しないことは、納入業者に対する優位な立場を利用して利益を提供させる行為として、独占禁止法で禁じられている「優越的地位の濫用」の疑いがあると判断しました。

公正取引委員会は、行為の是正や納入業者への返金などを迅速に進めるために、「確約手続」とよばれる行政処分に入ることをニシムタに通知しました。

これにより、ニシムタは納入業者50社に対して、徴収していた協賛金と従業員の派遣費用、あわせて約7億3000万円の返金を行い、さらにコンプライアンス体制の整備などを定めた計画を提出しました。

そして公正取引委員会は5日、この計画が被害救済や再発防止に十分であると認定しました。

公正取引委員会事務総局 審査局・小室尚彦審査管理官
「本格的な審査着手から5カ月という短期間で競争上の問題が迅速に解消されるとともに、被害救済などより効果的な措置がとられることになった」

ニシムタは今後5年間、第三者による計画の進捗の監視と公正取引委員会への報告を行うとしていて、「認定を受けた計画を確実に履行するとともに、コンプライアンスの徹底に努めてまいります」とコメントしています。

公正取引委員会によりますと、返金を伴う確約手続で、今回の約7億3000万は全国で過去6例のうち3番目に多い返金額です。

鹿児島テレビ
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