大手商社の三菱商事などで組織する企業連合が、秋田県沖の2つの海域で洋上風力発電事業から撤退したことを受けて、国や地元自治体などで構成する法定協議会が4日、秋田県庁で開かれ、いずれの海域でも速やかに再公募を実施することで一致しました。
三菱商事などで組織する企業連合は、政府が第1弾として2021年に公募した「能代市・三種町・男鹿市沖」と「由利本荘市沖」など国内3つの海域で洋上風力発電の事業者に選定されました。しかし8月27日、三菱商事は世界的なインフレによる建設費の高騰などを理由に撤退することを表明しました。
これを受けて4日、国や地元自治体、それに漁業者などで構成する由利本荘市沖の協議会が開かれました。協議会では、はじめに三菱商事の岡藤裕治常務執行役員が「風車を大型の機種に変更し、本数を減らして建設コストを抑えるなどさまざま検討を重ねたが、撤退という判断に至った」と再評価した内容を説明し、陳謝しました。
その上で、今後も秋田支店を残しながら、能代市で行ってきたAIオンデマンド交通や、男鹿市の真牡蠣の養殖事業など、地域共生の取り組みを継続すると説明しました。
由利本荘市沖などの第1弾の公募では、発電した電気は固定価格買い取り制度に基づき、決まった価格で大手電力会社に販売することが条件とされていました。
出席した由利本荘市の湊貴信市長は「二度と事業者の撤退がないよう事業環境を整備してほしい」とした上で、「地元の海域で発電した電力を地元で使えようにするなど、制度面で事業者に不公平感がないようにしてほしい」と国に制度の見直しを求めました。
4日は「能代市・三種町・男鹿市沖」の協議会も開かれ、いずれの協議会でも、国が速やかに再公募を実施することで一致しました。
協議会の後、経済産業省資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部の小林大和部長は「再公募に向けて、できるだけ速やかに進めていこうと皆さまから意見をいただけたことは国としても大変ありがたい。この先の事業を担う方々が、しっかりと事業をやり遂げられるような環境をどうつくっていくか、国の審議会で議論していくことになるので、年内にある程度報告できるようにしたい」と述べました。