2日、参院選の総括をまとめた自民党。

16ページにわたる報告書の内容には、「解体的出直し」という言葉が盛り込まれました。

そして森山幹事長はじめ「党四役」全員が辞意を示す中で、石破総理の進退はどうなるのか。

関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」に出演した、政治ジャーナリストの青山和弘さんは、石破総理が衆議院を解散する可能性について、「『脅しだから、どうせやらないだろう』という見方もあるが、私の感じだと単なる脅しで済まなくなる可能性もある」と話しました。

■“石破おろし”どうなる?「総裁選か辞任か衆議院解散か」

【青山和弘さん】「今、大きく分けると、2日の参議院選挙の総括を受けて、3つのパターンがあります。1つ目は総裁選の前倒しに突き進んでいく、どうなるかわからないけども、(総裁選前倒しを求める)署名を出す方向にいくのか。それとも、『もうさすがにこれ以上はまずいだろう』ということで、石破さんが自発的に辞任する可能性。今、説得工作続いてますから、可能性はもちろんあります。それか、この局面を打開するために、衆議院解散に打って出るか」

【青木源太キャスター】「石破総理が伝家の宝刀を抜いて、衆院解散に踏み切る可能性もある?」

【青山和弘さん】「この可能性は実際、全くないわけではないんです。私も直接、石破さんに取材していますけれども、(衆院解散も)実は念頭にある。ただ自民党の内部の『紛争』を抑止するために解散するのは、いかにも大義がないんですよね。それは石破さんもわかっているんだけども、局面を打開するには、これ(衆院解散)しかない可能性も出てくるかもしれないということです」

■自民党「分裂含み」に? 衆議院解散で「国民に意見を聞きたい」の思いも?

自民党の今後を巡る主なスケジュールです。

9月2日(火)自民党両院議員総会
9月3日(水)麻生派の研修会で麻生最高顧問が何を話すか。
9月8日(月)国会議員らが申し入れ書類提出し、過半数で総裁選実施へ

【青山和弘さん】「きょう(3日午後3時~)も麻生派の研修会ありますけれども、今自民党で残ってる派閥は麻生派だけで、麻生さんは『総裁選を前倒しすべきだ』と表明するとみられています。(※その後実際に表明)

月曜日の総裁選挙前倒しの署名提出まで進むと、自民党で反石破の人たちの名前を出して顔もさらして、もう『反石破名簿』みたいなものができてしまうわけです。自民党は『分裂含み』になる。しかもこの後、石破政権が仮に続いたとしても、やっぱりなかなか政権運営うまくいかないだろうと。

だったらまずは『辞めてくれと』。『もうこんな、皆に出させる前に、自分から辞めてくれ』という動きをしようとしている人たちは、少なくはない。

それか総裁選になるんだったら、事実上の石破さんのリコールですから、そうなる前に衆議院を解散して、『国民に意見を聞きたい』というようなことも(石破総理の)念頭にあるということです」

■“解散”カードは脅し? 青山氏「脅しで済まなくなる可能性も…」

(Q.実際に衆院を解散されたら困るから石破首相はカードとして使ってる?)
【青山和弘さん】「(衆院解散は)脅しの側面もあると思います。だから『まあ脅しだから、どうせやらないだろう』という見方もあるんですが、私の感じだと単なる脅しで済まなくなる可能性もあるのではないかと。

まだまだ現実味がないと思ってる人もいるけど、わからないと。今、石破さんも、本当何するかちょっとわからない状況にまで、追い詰められているところもあるんです」

(Q.そんな人がトップで大丈夫?)
【青山和弘さん】「それが今の政治の危機的状況と言っていいと思います」

(Q.辞めさせたくない人もいる?)
【青山和弘さん】「もちろんいます。石破さんの側近の例えば総務大臣の村上さんとか、岩屋外務大臣とか、そういう人たちは一緒に『頑張れ、頑張れ』と政権を支えてる人たちはいます。石破さんと一緒に退陣して、また自民党の非主流派に戻っちゃうような人たちは、『石破さん頑張れ』って。ただそれは、少数派なんです」

■「“石破おろし”受けるぐらいなら選挙したほうが勝てるんじゃ…」

【青木源太キャスター】「解散というのは伝家の宝刀として、内閣総理大臣が持っている最後の手段でもありますよね」

【関西テレビ 江口茂解説デスク】「そうですね。ただもともと党内基盤の弱い石破さんが、ここで解散に打って出て、果たして状況を好転させるようなことができるのか疑問です」

【青山和弘さん】「それは今、まず世論調査をすると石破さんの続投支持が、『続投しない方が良い』という人を上回ってるというのが1つああります。だから、『世論に聞いてみたい。そうすれば勝てるかもしれない』と。

あとこの前の参議院選挙の結果を、衆議院に当てはめると、実は参政党とか国民民主党は結構票を取るので、野党の票が分散して、自民党は過半数を回復するという数字もなくはないんです。

だからこれは、“石破おろし”を漫然と受けるよりは、選挙した方が意外と勝てるのではないかと(いう考えもある)。その通りになるかわかりませんよ。単なる机上の空論だけれども、そういう単純計算もあるんですね」

■小泉元総理含む元幹部らと会食 “局面打開のための解散”も検討

8月24日、石破総理は自ら呼びかけ、アメリカとの関税交渉を担当している赤沢経済再生担当相と共に、小泉純一郎元総理(83)、自民党の山崎拓元副総裁(88)、武部勤元幹事長(84)と、およそ3時間にわたって会談しました。

「この会合が『衆院解散』を考える大きなきっかけになっている」と青山さんは話します。

【青山和弘さん】「党内事情だけでは解散できないけれども、つまり“大義がない”ということはわかっているんだけれども、何か大義を作れば解散できる。しかも解散しなければ自分は引きずり降ろされてしまうのか、解散しなければどうなるのかを見て、解散を判断する。この言葉を聞くと結構、解散に前向きに聞こえるんです。現実的かどうかわからないけれども、その理由はこの会合にあるんです。この人たち何したかっていうと、“郵政解散”をした人たちなんですよ」

【青木源太キャスター】「あの時も小泉総理は解散しないっていう周りのムードありましたよね。でも解散に打って出て大勝した」

【青山和弘さん】「(衆院解散を経て)郵政民営化法案というのを通すことができたわけです。その時に、『刺客』を立てたの(『郵政民営化』に反対する自民党候補の選挙区に対立候補を立候補させたこと)は、武部さんが幹事長だったんです。このようにして解散をして、『局面を打開することができるんだよ』という話を聞いて、石破さんもちょっと意を強くした。ただ、“郵政民営化法案”をテーマにしたこの時と、“石破おろし”をテーマにしたものでは全く種類が違う。あと誰に刺客立てるのかっていうのも、ちょっと考えないといけないというところなんですね」

【青木源太キャスター】「何十人、何百人刺客立てないといけない…」

【青山和弘さん】「何百人刺客立てたらもう自民党じゃなくなるし、候補者もいないので、今語られているのは『裏金議員』に刺客を立てて、やはり“自民党はお金にクリーンにしたい”というのを訴えるのではないか。政治改革を。

ただ『裏金議員』は前回の衆議院選挙で、(小選挙区と比例区の)重複立候補を認められなかったりしてますから。『もう1回やるのか』という反発もあって、なかなか現実的に私も考えにくいんじゃないかなという思いもあるんです」

【青木源太キャスター】「参議院選挙の総括では“解党的出直し”という言葉が使われましたけれども」

【青山和弘さん】「まあこれも呪文みたいな、毎回出てくる言葉なんですよね。もう何回、“解党的出直し”してるんだと。それが一体何なのかがよくわからない。解散して解党的出直しになるのかというと、国会の解散ですからちょっと違いますので、やはりその辺り『じゃあ一体何なのか』というところも、はっきりしないといけないところなんですよね」

来週月曜日(8日)に総裁選前倒し、署名の意思確認が行われます。

(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」2025年9月3日放送)

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