岡山県内のJAは、農家に仮払いする新米の概算金を2024年の約5割増となる3万円に引き上げました。農業関係者は喜びの声を上げる一方、店頭価格がさらに高騰し、コメ離れにつながらないか気をもんでいます。

猛暑に負けずたわわに実をつけたコシヒカリ。真庭市北房地区では、今、収穫の時期を迎えています。コメの栽培が盛んな岡山県。全国的なコメ不足の中、JA晴れの国岡山が概算金の額を発表しました。

2025年のコシヒカリは、1等米で60キロ当たり3万円と、2024年より9900円引き上げて約5割増となりました。農機具などの高騰も続く中、農家は収入アップになると喜びの声を上げます。

(農家は…)
「うれしい。以前に戻った。採算は今まで取れていない。申告すると常にマイナスだった」

ただ2026年以降、概算金の見通しは不透明です。農家が若い後継者を確保しこの先も経営を続けるためには、収入を安定化させることが必要だと訴えます。

(農家は…)
「2万5000円でも3万円でもある程度安定していかないと道具の更新もできない。農業だけでは食べていけないので、仕事する所がなくみんな出て行っている」

一方、概算金が上昇すれば、店頭での価格が高まる可能性があります。現在、全国のスーパーでのコメの販売価格は、5キロ当たり3776円と先週から28円下がりました。販売価格は11週連続で3000円台と、ピークと比べると落ち着きを見せています。こ

の先、再び販売価格が上昇すれば消費者のコメ離れが進むという懸念も。コメが売れなければ、生産を減らすなど農家が影響を受けるため、農家や集荷業者など関係者は気をもんでいます。

(コメを集荷 西村農園 西村良一代表)
「あまり高いと農家も喜んでいない。相応の相場でみんなにおいしいと食べてもらうのが農家の考え。一般(の感覚)に合った値段で釣り合いが取れて農家が食べていけたらいい」

概算金の大幅アップにより、喜びと不安が混じり合う農業関係者。農家にとっても消費者にとっても大きく揺れる秋となりそうです。

一方、JA岡山も農家に支払う概算金を発表し、1等米のコシヒカリでJA晴れの国岡山と同じく24年の約5割増の60キロあたり3万円としています。

岡山放送
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