「忘れ物に気をつけて」上海便再開で活気づく松山空港
コロナ禍をきっかけに休止していた中国・上海便が7月に再開した。国際便が4路線となった夏の松山空港は、インバウンド客で連日大忙しとなっている。
空港を利用する外国人観光客の安全を守るため、警察官たちも特別な取り組みを始めた。

松山と中国・上海を結ぶ直行便が運航を再開
7月3日、松山と中国・上海を結ぶ直行便が運航を再開した。毎週木曜と日曜の週2の往復便で、1便あたり156席が用意されている。
松山~上海便の再開初便の搭乗率は、85%と好調な滑り出し。
1カ月あまり経った8月中旬も、この人だかり。チェックインカウンターには、県内を観光した中国人旅行客などがずらりと並ぶ。

7月中の上海便の平均搭乗率は7割以上
中国人観光客:
「(松山市の)大浦の町で、家族と一緒に海で泳ぎました。とてもうれしかったです」
県航空政策室によりますと、7月中の上海便の平均搭乗率は、7割以上と好調が続いているということです。
上海便の再開で松山空港の国際線は、韓国のソウル、プサン、台湾の台北と合わせ『過去最多の4路線』になった。円安や国のインバウンド推進を背景に国際線の利用者はコロナ禍前に比べ3倍以上に激増。
県観光国際課によりますと、上海便の搭乗客は個人旅行者がメインで、すでに日本の主な観光地を訪れたことのある人々が、新たな目的地として愛媛を選ぶケースが多いということだ。

新たな目的地として愛媛を選ぶケースが多い
兵庫から松山を旅行した中国人観光客:
「上海(から来ました)」
記者:
「Q今回の旅のお気に入りの写真を見せてもらえないですか」
こちらの男性が見せてくれたのは、フジテレビで放送した人気ドラマ「東京ラブストーリー」のロケ地・梅津寺駅。
中国版インスタグラムと言われるSNS「小紅書(RED)」を参考に、旅する人が多く、県も認知度向上を狙って情報発信を行っている。

「とても幸せで、美しい花火を見られてうれしかったです」
愛媛で3泊した中国人観光客:
「オレンジジュースが良かったです」
実際にSNSを参考にしたというこちらの男性。
Q.愛媛の観光、どこがよかったですか?
中国人観光客:
「八幡浜市で花火を見たこと」
Q.思い出の写真はありますか?
中国人観光客:
「もちろん。いっぱい写真撮ったよ。とても幸せで、美しい花火を見られてうれしかったです」
いよぎん地域経済研究センターの試算では、上海便の再開による県内への経済効果は、年間で約11億6000万円にのぼると見込まれている。

少したどたどしい中国語で
旅行客で賑わう松山空港で、少したどたどしい中国語が聞こえてきた。
「忘れ物に気をつけてください」(中国語で声かけ)
空港の派出所に勤務する警察官たち。
松山空港警備派出所・山内修所長:
「きょうは上海線が運航再開されますので、多くの外国人の方が来られる予定があります。普段以上に十分注意してトラブル防止に努めてください」
利用客が旅を楽しめるよう、くまなく目を配る。
警察官:
「特に変わったことないですか」
カウンターの女性:
「大丈夫です」

警備員も大変話しやすい
ALSOK愛媛綜合警部保障松山空港警備隊・酒井竜也さん
「警察官の方は山内所長が、特に積極的にコミュニケーションを常に図ってくれております。人柄がすごく気さくということもあって、我々警備員も大変話しやすいという環境を作っていただいておりまして」
空港スタッフへの積極的な声かけは、いざという時の迅速な情報共有にもつながる。

旅行客にもできるだけ自分の声で話しかける
韓国からの観光客:
「I’m going to空港通り」
警察官:
「乗り場はあそこの3番あたりになると思います」
観光客:
「分かった」「ナンバー3」「May be good police」
翻訳アプリも使いますが、旅行客にもできるだけ自分の声で話しかけることを心がけているそう。
午後の上海便到着に備え、中国語の練習がはじまる。
警察官:
「先生が教えてくださるので、がんばりましょう」
中国語の先生:
「まず私が最初に言いますので、そのあとに真似して唱和お願いします」
警察官たち:
「忘れ物に気を付けてください」中国語で復習
松山空港警備派出所・山内修所長:
「これ長いわ、覚えれんやん」
警備部門に長く在籍し、テロ対策にもあたってきた山内所長。実際に声をかけることで、感情的なトラブルを防ぎ利用者の異変にも気付きやすくなるという。

「謝謝(ありがとう)」の声も
まもなく飛行機が到着。警察官たちはメモをみてぶつぶつと練習する。到着ロビーに続々と利用者が出てきた。
警察官たち:
「忘れ物に気を付けてください」(中国語で声かけ)
観光客たち:
「謝謝(ありがとう)」
利用者から「ありがとう」の声も。レッスンは役に立ったようだ。
松山空港警備派出所・山内修所長:
「松山に来て、安全と安心を感じていただいて、ゆっくり観光していただく。そのまま事故もなく帰国していただく。というところが一番ですよね」
今後も拡大する見込みのインバウンド。空港を守る人たちの忙しい日々が続く。
