11年前に越前市で生まれたコウノトリの「ゆうきくん」が2日、越前市内で放鳥されました。県内では現在、約40羽のコウノトリが定着しているとみられ、県が飼育された個体を放鳥するのは「ゆうきくん」で最後となります。
       
2014年に生まれた11歳のオスのコウノトリ「ゆうきくん」は、県内で飼育されている「ふっくん」と「さっちゃん」のペアによって、他のつがいの卵を代わりに世話する「托卵」という方法で生まれました。
  
放鳥場所に選ばれた越前市横住町では、地元の園児や児童、住民ら約120人が放鳥箱が開くのを見守りました。
   
放鳥箱を出たゆうきくんは、すぐに飛んでいくかと思いきや、水を飲んだり餌をついばんだりしながら田んぼの周りを歩き回っていていました。
  
見守った小学生たちは「近くで見るとスケールがでかくて迫力があった」「服間地区の自然とか、いいところをたくさん知ってから飛んでほしい」と話していました。
   
兄弟の「げんきくん」と「ゆめちゃん」は、生まれた翌年の2015年に放鳥されましたが、「ゆうきくん」だけは近親交配やほかの個体とのトラブルを避けるため、放鳥されずに兵庫県立コウノトリの郷公園で飼育されていました。
 
県はこうしたリスクが低くなったと判断し、コウノトリは国の特別天然記念物のため文化庁に申請して放鳥が認められました。
  
県がコウノトリの飼育・繁殖事業を始めたのは2011年で、以来、県内では放鳥や自然環境の保全活動が繰り広げられました。その結果、県の推計によりますと、県内に定着するコウノトリは現在は約40羽にまで増えたとみられます。
   
県は、飼育した個体の放鳥は2日の「ゆうきくん」で最後とし、今後は県内でコウノトリが自然に繁殖できるよう、環境保全などに努めるとしています。

福井テレビ
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