福井市にある国の重要文化財「大安禅寺」では、約14年にわたる大規模な修理が行われています。修理には多額の事業費が必要となりますが、寺を資金面で支える檀家は年々減少しているといいます。そこで寺では支援の輪を広げようと、新たな取り組みに踏み出そうとしています。
江戸時代、越前松平家の菩提寺として建てられた福井市の大安禅寺は建立から365年を迎え、床下や天井裏などに老朽化による破損が目立つようになりました。
そこで寺は、国や県、福井市の支援を受け2018年から初めての本格的な修理工事を行っています。対象は本堂をはじめとする8つの建物です。
8月末に行われた工事の報告会では、9月に修復を終える本堂が公開されました。修復により、寺は江戸時代の創建当初の姿に近付きます。
工事中には、本堂の正面の板間の下に北陸地方の禅寺でよく見られる「土間」が見つかり、復元されました。床や柱などの修理には新しい木材を接ぎ木するなど、できる限り建立当時のものを残しています。
ただ、このような高度な修復をするために避けて通れないのが多額の事業費です。僧侶の生活の場となる建物など5棟の修復工事が2032年頃まで続き、総事業費は約26億円にも上ります。人口減少などに伴い檀家の数も年々減り続ける中、資金の確保は大きな課題です。
そこで寺は新たな支援策として「ふるさと納税型クラウドファンディング」に活路を見出しました。この制度では、寄付をした人が税の控除を受けられるほか、県外の寄付者には本堂で使われていた木材を活かした数珠など特別な返礼品が贈られます。
クラウドファンディングサイトでは、檀家に限らず県内外の信者や寺ファンなどから広く支援を募ることができます。
高橋玄峰副住職は「地域には檀家がもともと少ない。全国に福井、日本が誇る歴史的建造物であることを広めたいので、ふるさと納税クラウドファンディングを選んだ。
大安禅寺というすばらしい文化財を未来へ残し伝えるために精進したい」と話しています。
大安禅寺のクラウドファンディングは9月12日から10月末まで、約1カ月半かけて実施される予定です。