夏休みが終わるこの時期に増加する傾向にある、子供たちの不登校。

取材を進めると、不登校による“親の離職”も深刻な問題となっていることが分かりました。

親の孤立を防ぐために必要な支援とは。

■新学期スタート 不登校の子供の増加が深刻に

きょう(=1日)から新学期!神戸市の小学校では、始業式が行われました。

(Q.夏休みどこに行った?)
【2年生】「石川のYOASOBIのライブに行った!」

(Q.2学期頑張りたいことはありますか?)
【2年生】「ふつう100点じゃないから、ほとんど100点にしたい」

学校が始まり楽しげな声が聞かれる一方、この時期増えるのが…「子供の不登校」。

不登校の子供は年々増加し、2023年度には過去最多となる34万人を超え、深刻な状況となっています。

■9月の「不登校」相談件数は他の月と比べ倍

【大阪府の教育センター】「はい、すこやか教育相談です」

不登校の子供たちなどから相談を受け付けている大阪府の教育センター。

夏休み明けのこの時期は、不登校に関する相談が多く寄せられ、去年は9月の相談件数が他の月と比べ倍になったといいます。

【大阪府教育センター教育相談室 河上こずえ室長】「あしたから学校が始まる、なぜか分からないけど行きたくない。通常よりも相談体制を強化して相談にあたっている」

■子供の苦しみが親の仕事にも影響「不登校離職」

子供の苦しみは親の仕事にも影響を与えています。そのひとつが「不登校離職」です。

保護者を対象にした調査では、およそ5人に1人が「仕事を辞めざるを得なかった」と答えました。

大阪府内で子供向けに英語教室を開くえりなさん、3年前に「不登校離職」を経験しました。

これは中学1年生の息子が学校へ行けなくなった頃の当時の給与明細。

【“不登校離職”を経験 えりなさん】「(当時)小学2年生の夏休み明けの2学期の分なんですけど、欠勤が続いたり、本来は9時から17時半までですけど、1日3時間未満ですよね、働けても」

この月の給与は1万4575円。

連絡があれば学校に迎えに行く日々で、貯金を切り崩して家族3人生活していました。

【“不登校離職”を経験 えりなさん】「いつ電話かかってくるか分からない。だから出勤できても、すぐ迎えにいかないといけないとか。私が仕事に行けなくなると、(息子は)『自分のせいでごめん』となるし、『そんなふうに思わせてごめん』となって、お互い『ごめん』『ごめん』という感じなのが、一番しんどかったですかね」

えりなさんのしんどさは、息子にも伝わっていました。

【次男・はるくん】「迎えに来てくれるときも平気なふりしても、疲れているようにも見えていたし、来てくれたらうれしけど、疲れているなと思って」

■「話せる人が近くに」と不登校の親の悩みを“聞く側”に

そんななか参加したのは、不登校の子供や保護者が学び合う居場所となっている「トーキョーコーヒー」。

奈良県生駒市から全国に広がり、現在は400以上の拠点があります。

孤独感から解放されたというえりなさん。

息子は、将来就きたい仕事の話もしてくれるようになりました。

【“不登校離職”を経験 えりなさん】「つい先々週くらい、将来の話してきたんですよ」

(Q.どんな仕事したいって話だった?)
【“不登校離職”を経験 えりなさん】「言っていいん?」
【次男・はるくん】「いや(笑)」

今はトーキョーコーヒーの活動を運営する側になり、不登校の親の悩みを聞くことも多いと言います。

【“不登校離職”を経験 えりなさん】「何年も前、自分が離職すると選んだ時に、いま出会った仲間たちがもしいたら、助けてもらえたことがあるだろうなと思っていて。そうやって話せる人が1人でも近くにいてくれたら」

■不登校離職を減らす支援に乗り出す企業も

「不登校離職」を少しでも減らそうと、支援に乗り出す企業もあります。

東京都内の印刷会社「共同印刷」です。

【共同印刷人材開発課 小松英司さん】「約3割以上の社員が、不登校に対しての不安や、実体験として子供が不登校になってしまった経験がある。会社として支援すべきだと」

この会社では、子供が不登校になった際に使える休業制度と、時短勤務制度をおととし導入。

この制度を利用した社員からは「仕事を辞めなくて済んだ」などの声が上がっているといいます。

【共同印刷人材開発課 小松英司さん】「小学校入ったあと以降、支援する制度が不足している。切れ目がない制度設計を目指していきたい」

増加し続ける子供の不登校。

親も子供も孤立させない態勢づくりが求められています。

夏休みが終わるこの時期に子供たちのSOSに気づくことが大切です。

子供たちは言葉だけではなくて、体調に変化がみられることがあります。

体調不良、食欲不振、情緒不安定なことからイライラがみられたりとか、眠れなくなったりというものです。

こういう場合は、お子さんから話を聞くなど、場合によっては学校を休ませるなどした対応が必要です。

政治ジャーナリストの青山和弘さんは、子供が「学校に行きたくない」と言ったとき、深刻なものなのかどうか変化を見逃さないようにしたいと話しました。

【政治ジャーナリスト 青山和弘さん】「『学校に行きたくない』っていう言葉の裏に何があるのか、不安なのか、ストレスなのか、それとも甘えなのか。いろいろ感じることが保護者、親としては大切ですよね。深刻なケースは親が見ておいてサインを見逃さないようにしてもらいたいですね。

『ちょっと疲れた』とか、『何となく面倒くさい』みたいなケースだったら『ちゃんと学校行くんだよ』ってことを促してあげることも親の責任であると思います。

ただ子供がどっちのケースかを見極めるのは本当にケースバイケースで、やはり両親がしっかりと見ておくっていうことが何より必要ですね。

私も、妻も仕事をしているので、学校からの電話に出られないとか、本当に大変なのは本当よくわかるので」

保護者の方も頼れる人に相談するなど々も抱え込まないことが大事です。

関西テレビ
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