2日にも自民党の参院選総括がまとめられる予定だが、注目を集めているのが「総裁選の前倒し」があるのかどうか。

8月27日、自民党総裁選管理委員会は、総裁選の「前倒し」を要求する議員の氏名が公表されることになった。

そして「前倒し」を求める声は続々と上がっている。 政権の要職を担う副大臣や政務官、さらに旧茂木派の中堅議員ら10人も「前倒し」を要求する方向だ。

石破首相(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」より)
石破首相(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」より)
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■取材歴20年のジャーナリストでも総裁選の「前倒し」はギリギリまで分からない

関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」では、石破総理取材歴 20 年のジャーナリスト、鈴木哲夫さんが解説した。

総裁選の「前倒し」について鈴木さんは「本当にギリギリまで分からない」と言う。

鈴木哲夫さん:ズバリ答えたいんだけれども、結論から言うと本当にギリギリまで分からない。いや、僕なりに取材しますよ。色んな議員に。でも議員が270人からいて、47都道府県、ここが要するに『総裁選前倒しすべきだ』と答えたら、過半数いけば、実施されるわけですね。この期限が来週なんですよ。だからそこまで、みんな今、色々考えてるということです。

取材をしていて、実は割と報道されるのは、“声が大きい人”。例えば、閣内で『やるべきだ』という人とかがニュースになるんだけれど、実はまだ決めてない、答えてない人の方が圧倒的に多いんですよね。

青木源太キャスター:まだ態度を保留している?

鈴木哲夫さん:僕、個別に結構取材してますけど、やっぱり気にしてるのは世論なんですよ。だから世論が、『石破さん辞めなくていいんじゃないか』と、支持率が上がってみたりしてるわけですよ。

FNNの調査で国会議員295人に対して行われた「総裁選の前倒しについて」のアンケートはこのような結果だった。
・要求する 68人(23%)
・要求しない 46人(16%)
・態度保留 92人(31%)
・回答控える 89人(30%)

青木源太キャスター:『態度保留』という92人と、『回答を控える』の2つが多いから、この皆さんがどうするかによっても全然分からないと?

鈴木哲夫さん:この人たちは、世論をかなり意識してるということなんです。

鈴木哲夫さん(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」より)
鈴木哲夫さん(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」より)

■「世論と永田町って常に乖離」自民党が試されていると鈴木さん

「選挙の結果の総括よりも世論を見るという状況はいまいちでは?」と、スタジオでは自民党の姿勢に疑問の声が上がった。

これについて鈴木さんは「厳しい言い方だけど、そんなレベルなんですよ。だから絶対おかしい」と評価する。

鈴木哲夫さん:それで1つの山としてくるのが、やっぱりあす(2日)の(参院選敗北の)総括です。僕が取材してる感じでは、いわゆる一番ポイントになってる俗にいう“裏金問題”。この反省を入れるかどうかっていうとこだけども、どうも入れる方向で今やってると。

これは世論も意識してたけども、今度の敗北はただ個人的な問題だけではなくて、ここ何年かの“裏金問題”、“旧統一教会”…『自民党何やってんだ』と。だから石破さんの責任はもちろんある!あるけれども、それ以外“自民党全体”の責任じゃないかと。だからそういうものを(総括に)入れ込むのかどうかポイントだったんだけど、どうも入れ込みそうですね。

一方で個人的に、例えば『石破総裁』とか、『森山幹事長』とか、名指しでその人の名前を出して、『その人が悪い』みたいな書き方はしないんじゃないかと。だけどこの辺の調整がありますけど、あした(2日)のそれを見て、また世論がどう反応する、それを見ながら議員たちは『じゃあどうするか』を考えていくと。

総裁選の前倒しをするかは「記名・公表」で行われる見通しだが、記名かどうかで結果を変える人もいそうだ。

鈴木哲夫さん:基本的には、僕は思うんだけど、世論と永田町って常に乖離(かいり)してるでしょ。だから永田町の常識は世間の非常識ってよく言うじゃないですか。その逆も。だからそういう意味で、今、自民党全体が試されてると思うんですよ。

つまり世論を見ながら、そしてどういう総括をして、自民党がどうしていけばいいのかを考えなきゃいけない。これを単に要するに世論みながら、“石破おろし”云々で動いてたら、結果がどうなっても、さらにまた自民党の支持率下がりますよ。

鈴木哲夫さん(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」より)
鈴木哲夫さん(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」より)

■今後の石破総理は「世論が求める“らしさ”に全力」

総裁選の前倒し次第では、退陣の可能性もある石破首相だが、長年石破首相を取材する鈴木哲夫さんの独自取材で見えてきた石破総理の“頭の中”について、「政局は信頼している森山さんに任せ、自分は世論が求める“らしさ”に全力」と言う。

鈴木哲夫さん:政局は信頼している森山さんに全部任せて、自分はとにかく世論が求めている、これまで出せなかった“らしさ”を出すことに全力を上げると石破さんは考えています。

きのう(8月31日)も実はちょっと夜、(石破首相)と直接やり取りしたんですけど、とにかく外交、それから終戦の日も含めたいわゆる戦争に対してメッセージ。戦後80年のメッセージを出すと僕にははっきり言ってます。だからそういうことで、今まで本当に“石破らしさ”ってほとんどだしてないわけです。

僕は問題だと思うんだけど、これを出すことで『世論がじゃあ、もうちょっと石破さんでもいいんじゃないか』という空気をつくっていく。自分(石破首相)はそっちに全力で、政局で例えばメンバーはどうするとか、記名にするとかしないとか、そういうのも全部森山さんに任せるって。

青木源太キャスター:最近、石破総理が外交含めて、いきいきとやってらっしゃるなという印象があるんですけど、これやっぱり世論調査でいい結果出てることが、ちょっと強気になってる1つの要因なんですか?

鈴木哲夫さん:あると思います。いくつかあるんだけど、1つはまず世論がいい。これがバックアップして、実はきのうの夜のやり取りでも、きのうの日経新聞が輿論調査だした。他の社はみんな出してたけど日経が残ってたでしょ。『これがどうなるかだな』っていうのを、ちょっと気にしてたりしてるんです。だからこの世論調査で世論が押してくれてるっていうのは、1つ。

それから『石破辞めろ』という報道があるでしょう。こういうのが出ると、維持になるとは言わないが、『逆に…』という所があると思うんですね。

そういう意味では、来週の月曜日から、全議員とそれから都道府県連。これがどういう結果を出すか。ここは最大の山ですけれど、でも僕、前から言ってんだけど。石破さんの続投の条件は1こしかないと思う。それは総理になってから、何も“らしさ”を出してないんだから、それを出すならば続投ですよね。

(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」より)
(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」より)

■参院選総括もう一つのポイント「森山幹事長の進退」

青木源太キャスター:政局は森山幹事長に任せて、でも参院選挙の総括の結果、森山幹事長が辞任する可能性すらあります。

鈴木哲夫さん:そこがポイントになる。だからあした(2日)これもポイントなんです。総括の後に森山さんは『自分の進退どうするか言う』と言ってたんだけど、森山さんがいないと、石破さん続こうが何しようが政権がすごく弱くなるので、ここは『辞める』って言っても、引き留めるでしょうけど、森山さん自身がどう考えているか。

森山さんにものすごく近い自民党の大ベテランの参議院議員で電話しょっちゅうしてる人でさえ、『森山さんっていうのは分からない』。だから本当に最後まで守り切るのか、もうある程度やって、『もう俺知らない、さよなら』っていうのか。森山さんが何考えてるのか、『それもあした(2日)のポイントだ』と言ってましたね。

青木源太キャスター:まずは参議院選挙の敗北、その総括がどうなるのかに注目したいと思います。

(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」2025年9月1日放送)

森山幹事長(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」より)
森山幹事長(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」より)
関西テレビ
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