9月1日から市街地に出没したクマを市町村の判断でハンターが銃で駆除できる「緊急銃猟」制度が始まりました。
迅速な対応に期待が高まる一方、課題を指摘する声があがる中でのスタートとなりました。
クマの目撃が相次ぎ、8月中旬から閉鎖されていた札幌市豊平区の西岡公園。
住宅地にも近いことから定期的な巡視が行われていましたがその後、痕跡や目撃がないことから9月1日に2週間ぶりに閉鎖が解除されました。
秋が近づき今後も出没が続くとみられるクマ。
9月1日から駆除に関する新制度「緊急銃猟」がスタートしました。
これまでは警察官が命じた場合などを除き原則禁止だった市街地での猟銃の発砲が、生活の場にクマが侵入する恐れや安全確保などの4つの条件を満たせば、市町村の判断で可能となりました。
「周辺住民らへ避難を呼びかけるべく猟友会メンバーらが出発しました」(木村洋太記者)
新制度の訓練はこれまで道内各地で行われました。
8月14日は札幌市西区の市街地にも近い宮丘公園で実施。
市の担当者が周辺の安全を確認したうえで、発砲をハンターに委託します。
「クマが突拍子もなく斜面を下り、飛び出て来た時に何もできない」(ハンター)
「警察と協議して決めていく」(札幌市の担当者)
「市街地近郊なので銃口は上に向けない。下です」(ハンター)
駆除までの一連の流れを確認した中で、参加したメンバーからは課題を指摘する声があがりました。
「脇道がたくさんあってそこをカバーするのは相当な人員が必要」(札幌市の担当者)
「ハンターへ委託するのが遅い。もう少し早い方がいろんな面でいいと思う。やっている間にクマが来るのではという点が散見された」(道警の担当者)
関係者から上がったのは安全確保などの条件を整えるのに人手と時間がかかるという声でした。
改めて札幌市に聞くと。
「不安は不安だがやらないと市民の安全を図るために必要。(人員確保のため)区役所の職員や消防などに声をかけながら、どこまでの人手をかけて、どのエリアをやるのか打ち合わせをして、できる限り短時間で済ませられるように計画を立てていきたい」(札幌市環境共生担当課 坂田一人課長)
課題が残る中始まった緊急銃猟制度。
クマ出没の本格的なシーズンを前に詳細の検討作業が急がれます。
緊急銃猟の4つの条件は下記のとおりです。
・市街地などに侵入のおそれ
・緊急性あり
・銃猟以外で捕獲が困難
・住民にあたるおそれがない
これらすべてを満たせば猟銃使用が可能になりますが、簡単ではありません。
例えば、河川敷を移動したクマが公園に出没した場合、公園へ通じる道路をすべて通行止めにし、ハンターから半径200m圏内を「屋内退避」にします。
避難誘導や通行規制をするには人手も時間もかかり、その間にクマが移動したらまたやり直しになります。
札幌市は、クマが市街地に出る前に、草刈りを進めるなど基本的な対策にも取り組み、訓練を重ねていくとしています。