クマが市街地に出没した場合に、市町村の判断で猟銃を使用できる制度「緊急銃猟」が9月1日から始まりました。
住民の安全確保が必要となる中、県は市町村をサポートする対策チームを新設しました。

改正鳥獣保護管理法の施行により9月1日から始まった「緊急銃猟」の制度。
これまでは市街地でクマが出没した場合でも、猟銃の使用は原則禁止されていて、花火で追い払ったり、吹き矢を使い麻酔で眠らせたりする措置が取られていました。

これに対し、9月1日からは、
1、クマが人の生活圏に侵入している
2、危害を防ぐための措置が緊急に必要である
3、猟銃以外の方法では捕獲が困難である
4、住民に弾丸が到達するおそれがない
この4つの条件が満たされた場合、市町村の判断で猟銃を使えるようになります。

(緊急銃猟のイメージ)
住民の通行を制限した上で、市町村から委託を受けたハンターが、クマに向かって発砲します。
発砲は銃弾が跳ね返る危険がない河川敷などで実施する必要があります。
緊急銃猟の実施には安全確保の徹底が前提となるのです。

県自然保護課 引屋敷努総括課長
「(緊急銃猟では)距離を置いての捕獲が可能なので、クマと向き合うハンターの安全がある程度保たれる。一方で銃を使用しての捕獲になるので一定の危険を伴う」

県内の市町村ではクマ対応のマニュアルを改訂するなど態勢整備にあたっていますが、県は独自の取り組みとして県と市町村、猟友会、警察などで構成する対策チームを新設しました。

このチームでは緊急銃猟の必要性が高まった際、現地の状況を踏まえて、実施条件を確認したり、応援体制を確保したりといったサポートをします。

県自然保護課 引屋敷努総括課長
「クマの市街地への出没対応をあまり経験していない、あるいは人員体制が整わない市町村も想定された。(対策チームでは)緊急銃猟の条件の確認、安全を確保するための措置などに関して助言・支援を行うことにしている」

その上で、県では人命を最優先に、慎重な判断の下で実施すべきとしています。

県自然保護課 引屋敷努総括課長
「緊急銃猟はどの市町村にとっても、そして県にとっても初めての経験となるので、事前にシミュレーションしていくことが有効だと考えている」

県は今後、市町村と連携した訓練も実施する予定です。

2025年7月県内では1024件クマが出没していて、月ごとでは2012年以降で最多となりました。

緊急銃猟に各自治体で十分対応できるのか、今後注目していきたいと思います。

岩手めんこいテレビ
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