暴徒化したデモ隊に催涙ガスで対抗する警察。
インドネシアで起きている反政府デモは、警察車両にも火が付けられる事態になっています。
一部の市民は暴徒化し、財務相や議員の自宅が襲撃されました。
国民の怒りの背景にあるもの。
それは、国家議員に支給される高額な住宅手当です。
地元のメディアによると、その額は、日本円で月額約45万円。
金額はインドネシアの最低賃金の約10倍です。
この政治家の優遇策に、国民の不満が爆発しました。
しかも、事態を悪化させる事件が起きました。
首都ジャカルタで8月28日、デモの最中にバイクタクシーの運転手の男性が警察車両にひき逃げされ、死亡したのです。
デモ隊は暴徒化し、各地で警察と衝突する事態となりました。
南スラウェシ州では、デモ隊が建物に放火。
ロイター通信によると、各地の暴動でこれまでに少なくとも8人が死亡したということです。
こうした状況を受けて、プラボウォ大統領は8月31日、暴徒化した市民について「厳重に対処する」と述べる一方で、国民の反発を招いていた議員手当を見直す方針を表明しました。
しかし、事態が収束するかどうかは不透明です。
日本の外務省は、インドネシアに住む約1万5000人の日本人に対し、水や食料、燃料などの備蓄を呼びかけています。
現地に住む日本人からは不安の声が上がっています。
ジャカルタに住む日本人:
暴徒化した市民が駅を破壊したりしている。電車は動いてないんじゃないか。日本人が住んでいるマンションにたまたま国会議員が住んでいて、暴徒化した市民が入ってきた話を聞いたので、私たちの住んでるアパートにも来たらどうしようという不安・怖さがある。
インドネシアを拠点にアーティスト活動を行っている加藤ひろあきさんは、「一番大きかったのはジャカルタの目抜き通り。スディルマン通りのバス停が次々と燃やされる事件が起きて、企業によっては在宅で仕事することが推奨されている。普段は活気にあふれて若い人が多くてパワフルな街。恐怖で静かな街になるのはさびしいし悲しい。この先の展開によっては(再びデモが)激化する可能性もゼロではないので、まだまだ予断は許さない状況だと認識している」と話しています。