金の高騰やキャッシュレス化の影響で、貴金属やブランド品の買取市場が大きく変化しています。名古屋・大須の激戦区で、査定額に一喜一憂する利用者たちに密着。知らないと損する“高く売るコツ”や、思わぬ査定ダウンの落とし穴も…。買取現場の今に迫ります。

■金の査定に悩む女性
舞台は、東京や大阪など全国に50店舗を展開している「ブランドオフ」名古屋大須店。査定するのは、これまで総額10億円を査定してきた買取歴18年のベテラン店長です。
名古屋市の50代女性が持ち込んだのは、ブルガリのネックレスと、20年前に約20万円で購入した18金ネックレス、さらに母親から預かった18金ネックレスの3点。

店長:
「(ブルガリの)金額は19万円です。18金のネックレスは7万2000円と5万円で、計31万2000円ですね」
客:
「あ~そうですか。」
金額に納得がいかない様子の女性。
店長:
「金が今日、高値なので…」
客:
「え!」

いま金の価格が高騰。2025年6月の金相場は過去最高値を記録。24金の店頭小売価格が1グラム1万7678円となり、2005年の年平均価格と比べると約10倍と高騰しています。しかし、女性は「もう少し上がるかも」と予想し、今回は見送りとなりました。
■ブランド財布とスニーカーに9万円の決断
続いては、40代男性がエルメスの紙袋を片手にやってきました。持ち込んだのは、2年前に約20万円で購入したエルメスのスニーカーと、3年前に約15万円で買ったボッテガ・ヴェネタの長財布。

店長:
「スニーカーはきれいな商品も定価の半額以下になってしまうので、6万円。お財布は2万5000円ですね」
客:
「安いね。もうちょっといける?」
店長:
「ゴールはどれぐらいですか?」
客:
「はるか遠いです」
結果、合計8万5000円を切り上げて9万円で交渉成立。
客:
「新しいものを買うと家に物が増えるから。ちょっと安いけど納得しました」

靴は、サイズや色の好みが様々で高値は付きにくいとのこと。財布は、最近はキャッシュレス化の影響で、小さい財布の方が高値になりやすいそうです。
■ヴィトンバッグに勝負査定
三重県から来た50代夫婦が持ち込んだのは、「ルイ・ヴィトン オンザゴー」。2022年にご主人が50万円で購入し、奥様にプレゼントしたものの「重くて使っていない」とのこと。使用感はなく非常によい状態のバッグです。

客:
「さっきの店では25万円って言われました。うちより高い値段が出たら電話くれって言われました」
店長:
「うちも欲しいバッグなので頑張ります。ルイ・ヴィトンは売れ筋のブランドなので特に力を入れています」
全国に比べ名古屋はルイ・ヴィトンの人気が高く買取強化中。こちらの店舗でもルイ・ヴィトンのバッグだけで850点以上が並びます。

店長:
「お待たせしました。27万円です。在庫がないのでその分上乗せました」
客:
「他の店も見てから決めたいので…。ただ、今日売って帰ろうと思っていますので」
ブランドオフがある大須商店街は、買取店が集まる激戦区。商店街には、およそ15店の買取店があり手軽にハシゴできるため、複数店舗を回って査定価格を比べる客も多いといいます。

その後、3軒まわったうえで再来店しました。
客:
「(他店は)18万円とか、22万円とかでした。」
店長:
「では、うちで買わせてください」
27万円で買取成立。
客:
「(27万円は)妻が喜ぶものに使いたいです」

ルイ・ヴィトンの他にもバッグ類全般を高価買取中。中でもアウトレット展開をしていないエルメスやシャネルは高値がつきやすいといいます。
■高級時計は箱が命?
続いて50代夫婦が持ち込んだのは、夫が長年趣味で集めてきたという高級腕時計3本。中には定価1000万円以上のモデルもあるドイツの高級ブランド「ランゲ&ゾーネ」、スイスの名門「ロレックス」のエクスプローラー、そして日本が誇る「セイコー」のプロスペックスです。いずれも時計好きにとっては垂涎のモデルばかり。
夫:
「使ったのはランゲくらい。ロレックスとセイコーはあまり出番がなくて」
高級腕時計は、プレミアム価格が付いて定価より高くなる可能性も。果たしていくらになるのでしょうか。

夫婦は前日から“買取の旅”に出ているということで、すでに4店舗を回りこの店が5軒目だといいます。
妻:
「ランゲは、過去に最高で364万円という実績を見ました。それくらいの価値はあると、急ぎではないですが…」
ロレックスも高値が期待できますが、買取価格を左右する“ある問題“が判明します。

妻:
「箱はホコリをかぶっていたので私が処分してしまった…。時計に無知なので、箱ならいいやって捨てちゃったんです」
高級腕時計の査定では“箱無し”だと買取価格に数万円の影響が出ることも。さらにギャランティ(保証書)が無い場合は数十万円も変わることがあるそうです。

今回は幸い、ギャランティは保管されていました。丁寧なチェックの末、店長が査定額を提示します。
店長:
「ランゲ&ゾーネは170万円」
妻:
「170万円…。昨日4軒回って、低い所は120万円、一番高い所は220万円でした」
店長:
「ロレックスのエクスプローラーは93万円、セイコーのプロスペックスは3万円です」
夫:
「昨日回った店でロレックスは91万円だったので、こちらが一番高いですね」
夫婦はその場で相談し、ロレックスとセイコーの2本を合計96万円で売却することにしました。

夫:
「スタッフの方の対応もとても良くて、金額にも満足しています」
大切にしてきたブランド品、 高く売るコツは、“相場を知ること”と“店を比べること”のようです。