鹿児島県薩摩川内市の九州電力川内原発の再稼働の前提となった国の原子力規制委員会の許可について「火山リスクの検討が不十分」などとして住民らが許可の取り消しを求めている裁判で、福岡高裁は27日、住民らの訴えを棄却しました。

池田政昭記者
「住民側の訴えを退ける判決が出ました。原告団が『不当判決』と掲げています」

国の原子力規制委員会は、福島第一原発の事故をうけ、厳格化された新しい規制基準に適合するとして、2014年、九電に設置変更許可を出し、その後川内原発は再稼働しました。

訴えを起こした鹿児島や熊本の住民らは「火山の大規模噴火の危険性が考慮されていない」などとして、国に対しこの許可の取り消しを求めています。

2019年の一審福岡地裁は、「大規模噴火の発生は極めて頻度が低く、原子力規制委員会の審査が不合理とはいえない」などとして、原告の訴えを退け、その後、高裁での審理が続いていました。

そして一審判決から6年。

27日、福岡高裁の松田典浩裁判長は、「原子力規制委員会が火山の影響を示した審査基準は合理性がある」とした上で、「巨大噴火の可能性は十分に小さく、判断の過程に誤りはない」として、一審判決を支持。住民らの訴えを棄却しました。

これを受けて原告の住民らは会見を開き、判決への落胆と怒りをあらわにしました。

原告団・青柳行信代表
「まったく理不尽な、不当極まりない裁判官の判断と判決を絶対に受け入れるわけにはいかない」

弁護団・海渡雄一共同代表
「こんなご都合主義なことを繰り返していたらまともな原発についての審査などできるわけがない」

判決を受けて九州電力は「国及び当社のこれまでの主張が裁判所に認められたものと受け止めている」とコメントしています。

鹿児島テレビ
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