記録的大雨で被害が出た秋田県仙北市。鈴木知事が24日、現地に入り、浸水被害を受けた住宅や土砂が入り込んだ田んぼを視察した。鈴木知事は激甚災害の指定に向け、国に要望する方針を示した。

「お願いしたいのは“泥の撤去”」悲痛な訴え

秋田県の鈴木知事は、記録的な大雨で被害を受けた仙北市西木町の上桧木内地区に入り、床上浸水の被害を受けた柴田正義さんの住宅を視察した。

浸水被害の現場を目の当たりにした鈴木健太知事(右)
浸水被害の現場を目の当たりにした鈴木健太知事(右)
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柴田さんは「半地下なんです。お願いしたいのはこの泥を全部撤去してもらわないと住めないんです」と知事に訴えた。

柴田さんの住宅では、物置にしている地下室が冠水したほか、1階も床上約50センチまで浸水した。

浸水被害を受けた柴田さんは「建設会社の大きい重機で外の泥を出してもらわないと、私たちの家の下の泥さえも出せない状況」と、人力だけでは住宅に入り込んだ泥の撤去は難しいと話す。

田んぼにも流木や土砂 稲の収穫に打撃

鈴木知事は冠水した田んぼも視察した。

田んぼに流れ込んだ木
田んぼに流れ込んだ木

田んぼには、桧木内川から流れてきた木や土砂が入り込み、コンバインが入れず秋の収穫に影響が出ている。

鈴木知事は「まずは一刻も早く被害を受けた場所の復旧と生活再建の支援をしたいと思っている。九州をはじめとする全国的な大雨災害の激甚災害指定は地域を限定しないと聞いているので、秋田県も入れ込んでもらえるよう要望していきたい」と話し、被害を受けた住民や農家への支援を急ぐ方針を示した。

被災した児童も元気に登校 夏休み明け授業再開

記録的な大雨で甚大な被害を受けた仙北市の上桧木内地区に最も近い小学校は、25日から授業が再開し、被災した子どもたちが笑顔で学校生活をスタートさせた。

被災地区に最も近い桧木内小学校(秋田・仙北市)
被災地区に最も近い桧木内小学校(秋田・仙北市)

38人の児童が通う桧木内小学校には、今回の大雨で被害を受けた上桧木内地区から7人の児童が通っている。夏休みが明けて約1カ月ぶりの学校に児童たちはわくわくした様子で、久しぶりに合う先生や友達との会話に笑顔を見せていた。

全校集会では、吉川寿朗校長が「皆さんの中にも被害に遭ったという人がいる。片付けが終わったという人もいれば、まだまだ時間がかかるという人もいる。一日も早く前のような生活に戻ることができるよう願っている」と児童たちを勇気づけた。

夏休みの思い出などを発表し合う児童たち
夏休みの思い出などを発表し合う児童たち

教室に戻った児童たちは夏休みの宿題を提出したり、夏休み中に作った工作をクラスメートに紹介したりしていた。被災した子どもたちも学校再開にうれしそうな表情を見せていた。

被災した4年生の児童は「車庫は水でいっぱいになったが、玄関までだったから良かった。みんな元気に来てくれたから、これからみんなといっぱい話したり遊んだりしたい」と話した。

また、被災したもう1人の4年生の児童は「軽トラックも壊れて、中まで水が入って使えない状態だった。(大雨のときは)桧木内小学校に避難所が開設されたから一時避難して来た。みんなも元気だし、笑顔で来てくれたからうれしい」と話していた。

「災害廃棄物」本格回収始まる

一方、仙北市は25日から災害廃棄物の本格的な回収を始めた。

市は、22日から軽トラック1台で災害廃棄物の回収を始めていたが、25日からは民間の運搬業者とともに、トラックやごみ収集車など計5台を使って回収をしている。

災害廃棄物の回収作業
災害廃棄物の回収作業

被災した住宅の前には、泥のついたたんすなどが並び、市の職員などがトラックに積み込んでいた。

住宅の1階が浸水した女性は「どこからどう手を付けていいか分からなかったが、役場や業者などが来て話してくれた。来てくれる思いに感謝しかない。本当にありがとうございます」と感謝の言葉を口にした。

仙北市は、災害廃棄物の回収を急ぐことにしている。

(秋田テレビ)

秋田テレビ
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