“歴史的な一手”を落札

東京・千駄ヶ谷(せんだがや)の将棋会館から紙袋を手に出てきたこちらの男性。

若手の棋士…ではなく飲食店などを経営する「テスタ」さんです。
この日、将棋会館を訪れた目的は…そう!

テスタさん:
藤井さんの“封じ手”をもらいにきました。落札してから一週間くらい経ったのでずっと楽しみにしていたので。

テスタさん
テスタさん
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高校生プロ棋士、藤井聡太二冠が4連勝で見事タイトルを獲得した王位戦。その対局で注目されたのが…

「封じ手は、8六歩です」

持ち時間の不公平をなくすため、あらかじめ次の日に指す一手を紙に書いておく“封じ手”です。

藤井二冠の封じ手
藤井二冠の封じ手

9月14日、日本将棋連盟は、王位戦第二局から第四局にかけて書かれた3通をオークションサイト「ヤフオク!」に出品。

その結果、3通合わせて総額約2250万円で落札されました。その3通のうちテスタさんがゲットしたのは…藤井二冠にとって初めての“封じ手”となった第二局のもの。
その落札金額は…

テスタさん:
550万1000円ですね

文字通り厳重に“封”をされた“歴史的な一手”。550万円の価値は十分にあると考えています。

これまで全国の児童養護施設にボールを贈るなどのチャリティー活動を積極的に行ってきたテスタさん。今回の“封じ手”オークションに参加したのも収益を九州豪雨の被災地に寄付するという点が決め手になったといいます。

テスタさん自身、アマ4段の資格をもつ祖父の影響で、小学生のころは地域の大会で優勝したこともあるとか。今回も“攻めの一手”でお宝をゲットしました。

“藤井世代”の台頭

その封じ元の主、藤井二冠には小学生時代、実は“苦い思い出”がありました。

8年前、小学生将棋大会の表彰を受ける当時小学3年の藤井二冠。何とも冴えない表情をしていますが、それもそのはず、このとき藤井二冠は3位…

敗れた相手は、今月、現役最年少棋士としてプロデビューした伊藤匠四段。“藤井を最後に泣かせた男”という異名を持つ同世代のライバルです。

伊藤匠四段
伊藤匠四段

当時、その伊藤四段を破って見事優勝したのが、川島滉生さん。現在はプロへの道をあきらめ、大学進学後に将棋部に入り“全国優勝”を飾るのが夢です。今回プロ入りした伊藤四段の活躍は大きな励みになっています。
 

川島滉生さん
川島滉生さん

川島滉生さん:
連絡しようと思ったら先に(プロに)「上がったよ」って、すごいと思います。自分もがんばらないと。

それぞれの夢を追い求める“藤井世代”の台頭。彼らの真剣勝負が日本の将棋界をさらに沸かせます。