北海道で暮らす働くママの1日を追いかける観察ドキュメント「ママドキュ」。

 子育ても仕事も頑張りながら働くママさんたちのリアルな1日をのぞくと、限られた時間で家事・育児をこなす究極の時短ワザの連続でした。

 今回の主役は新篠津村に住むさきさん、35歳。夫・のりふみさんとともに、切り花を栽培する農家「丸山農園」を営んでいます。

 家では5歳と1歳の姉妹を育てるママです。1年でも特に忙しいお盆シーズン真っ只中の1日を観察しました。


 朝はなんと3時半起き。涼しいうちに2000本ほどの花を収穫します。花は暑さに弱く、涼しいうちに摘み取らないといけないのだそう。

 「お盆シーズンになると、続けてどんどん咲いてくるから」と、さきさん。「ちょっと人間的にピリつくときがある」と、のりふみさん。この時期は特に忙しいのだそう。


 午前6時30分。一旦仕事を切り上げて、朝食を作りに自宅へ。

 夫婦が働いている間は、隣に住む義母のふさこさんが子どもたちを見ていてくれます。


 朝の定番はセルフサンドイッチ。長女のえみりちゃんはいろいろお手伝いをしてくれます。

 夢中で作ってくれている間に家事がはかどるはずが…。


 次女のもえのちゃんのご機嫌次第で、保育園の連絡帳の記入も一苦労。

 時間はあっという間に奪われてしまいます。


 この日は、出発の20分前にお弁当がいることを思い出しました。

 冷凍食品をフル活用して10分でお弁当が完成。なんとかピンチを乗り切ります。

 小さいゼリーは冷凍して、保冷剤代わりにしています。


 長女えみりちゃんを保育園へ送るのはパパに任せて、さきさんはお花の出荷に向かいます。

 午前8時50分、農協(JA新しのつ)に納品。


 次女のもえのちゃんもパパに連れられやってきました。15分ぶりのママとの再会。

 抱っこしてもらいうれしそうですが、ちょっと離れると「ママー、ママー、ママー」とママのうしろ姿を追いかけます。


 丸山農園は、新篠津村で50年続く切り花農園。主に冠婚葬祭に使われる花を1年を通して栽培しています。年間10品種、15万本ほど。

 お盆シーズンは仏花の需要が高まり、収穫作業で大忙しです。


 地元の産直市場にはこの時期、1日に2回も納品に行きます。

 お盆の時期は「産直に買いに行きたいから(お花を)用意しておいて」という人もいるのだそう。


 新篠津産の朝どれ野菜も安く豊富に並ぶ人気の直売所。

 北海道内有数の米どころで、おいしいお米がお得に手に入る穴場でもあるそうです。


 正午に昼食。

 お昼休憩の夫婦の楽しみは、かき氷。熱中症対策も兼ねています。

 100円ショップのシロップは、たくさん種類があって、いろいろな味を少しずつ食べるのにちょうどいいサイズ。


 さきさんが花農家に嫁いだのは6年前。でも実は結婚前も花に携わる仕事をしていた花のプロなんです。

 「もともとお花屋さんになりたくてお花屋さんで10年ぐらい働いて、そこから結婚式場でブーケを作ったり、人の幸せになるところも一緒に見てみたいなと思って」とさきさん。

 販売するだけではなく、花が人を幸せにする瞬間に立ち会いたいとの思いで結婚式場でのフラワーアレンジメントも手がけてきました。


 そんなさきさんが偶然出会い恋に落ちた男性が、まさかの花農家の2代目。

 結婚を機に新篠津村へ移住したものの、育休後はブライダルの現場に復帰するつもりだったそうです。

 ところが、現実はそう簡単ではありませんでした。


 新篠津村は積雪が2m以上になることもある豪雪地帯。札幌まで通うのは現実的に難しく、大好きだったブライダルの仕事は諦めることに。

 2代目の夫・のりふみさんと、生産者として歩むことを決めました。


 「お花の扱いはピカイチ。お花屋さん目線のトレンドの色とか知っているので取り入れながら、チャレンジして取り込めることが増えました」と、のりふみさん。

 「自分の好きなようにできるから生産者の方が合っていたのかもしれない。(前職で)勉強したことを生産者側でも活用できる。生産者になってからお花屋さんに発信できることもあるから良かった」と、さきさんは話します。


 仕事を終えて休む間もなく午後6時には夕食づくりです。

 きゅうりは塩もみして、お気に入りの時短調味料で味付け。


 一番のおすすめは「えび塩きゅうり」。

 塩もみしたきゅうりに混ぜたら、あとはおいておくだけで完成です。

 2品目は春雨サラダ。

 春雨にツナ缶を入れ、岩塩にハーブやトマトパウダーなどがブレンドされたマジックソルトとマヨネーズで味付け。これだけで味に深みが出るそう。


 さらに、時短料理がどんどん登場。

 続いては、子どもたちが大好きな「ワンパン揚げ出し豆腐」。片栗粉を入れたフライパンに切った厚揚げを入れて、まぶします。


 粉がちょっと多くても、とろみになるから大丈夫。

 あとは油を入れて、めんつゆで味付けすれば、あっという間に完成です。


 続いて鶏肉を切り始めたさきさん。暑さに負けないスタミナ料理を作ります。

 KALDIの「レンジで手羽唐揚」。カレー粉やクミンなど7種類以上のスパイスが入った袋にお肉を入れて味をなじませたら、袋ごとレンジで加熱するだけ。


 スパイシーな唐揚げもあっという間に完成。

 暑いときに火も油も使わず、衣もカリっとしあがるのでとってもラクチン。


 午後7時15分、家族で食卓を囲みます。

 大好きだったフラワーアレンジメントの仕事を辞めて、花農家になって6年。偶然に出会った花農家を営む夫・のりふみさんと、いま同じ夢を見ています。


 夫婦の夢は、新篠津村に「花のアミューズメントパーク」を作ること。

 「(家族で遊びに)行くことがあまりできないから、人に来てもらえる場所を作ればいい。フォトスペースを作って、アジサイでやりたいよね」と夫婦で語り合う日々。

 「花育とかもそうだし、子どもたちにお花を教える活動もしていきたい。自分の育てた花を使って、アレンジできるのは特権だよね」とさきさんの夢は広がります。

北海道文化放送
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