「石破おろし」はどうなっていくのか。自民党の総裁選の前倒しを議論する、選挙管理員会の初会合が開かれた。

関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」で、政治ジャーナリストの青山和弘さんが今後の「石破おろし」の行方について解説。

石破総理は全く辞める気がなく夏休みも「戦後80年のコメント」を考えていたと指摘し、マスコミの世論調査で「続投支持」が増えていることから、所属議員が危機感を感じ、総裁選が前倒しされるかどうか、自民党は「真っ二つ」だと話した。

青山和弘さん:参議院選挙の結果を受けて、自民党内に『辞めるべき。そうでないと自民党は浮上しない』という声は依然大きいが、マスコミの世論調査で、「続投支持」が非常に増えている。

お盆に地元に帰った議員たちに『このまま”石破おろし”をしていたら、自分たちが悪者になっちゃうんじゃないか』という危機感も出てきていて、まだこの結果がどうなるのか。私は“真っ二つ”と言っていい状況だと思います。

政治ジャーナリスト青山和弘さん(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」より)
政治ジャーナリスト青山和弘さん(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」より)
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■総裁選の前倒しの是非は「サイン入りの書面で」 大きなポイントは「公にするかどうか」

19日、自民党の選挙管理委員会が行われた。

選挙管理委員会は、総裁選の前倒しの是非を判断する手続きを今後議論していくが、逢沢一郎委員長は「総裁選実施を希望する議員から、サイン入りの書面を提出してもらう」と発言している。

青山和弘さん:(総裁選前倒しを希望する議員の中には、)政府の役職についている人も結構いるんですよ。副大臣とか、政務官とか。『お前そんな総理大臣に歯向かうんだったら、辞めてから言えよ』みたいな批判もあり得るわけです。

さらに青山さんによると、「総裁選前倒しを希望する書面を誰が出したのか、ということについて、オープンにするかどうかも決まっていない」ということで、それによって書面を出す人の数も変わってくると指摘する。

青木源太キャスター:名前を書くかどうか、それをオープンするかによって、意思をどう表明するかが変わってくるじゃないですか。でも政治家ですからね、どういう政治姿勢なのか、どういう行動をしたのか、というのを明らかにする必要もありますよね。

青山和弘さん:事実上、『総理大臣を辞めさせる』署名ですから、それぐらいはちゃんと名前ぐらいオープンにしろよと。無記名でこっそりっていうのは良くないという、今はそういった議論になりつつあるということなんですね。

総裁選の前倒しの是非は「サイン入りの書面で」  (関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」より)
総裁選の前倒しの是非は「サイン入りの書面で」  (関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」より)

■“影の総理”森山幹事長 「幹事長辞めても、幹事長“代理”」に?

そして選挙管理委員会には逢沢議員が委員長に選ばれているが、青山さんは「“影の総理”森山幹事長が裏で操っている!」と言う。

青山和弘さん:いま総裁選管理委員会の委員長は、逢沢さんという人なんですが、逢沢さんが独断で決めるというよりも、党の組織ですから党は幹事長の影響力が大きいわけですね。森山(裕幹事長)さんが、『影の総理』と言われていて、いまものすごい力を持ってますから、この逢沢さんと話し合いながら、オープンにするのかとか、どれぐらいのスピードで意思確認をするのかとかを、決めていくということなんです。

来週、参議院選挙の総括というのが発表されるんですね。森山さんは総括の時点で、『自分の責任を明らかにする』と言っているので、そこで、一応その言葉通り受け止めると、辞めるんじゃないかと。本人も『辞めてもいい』という意思は持ってるんですね。

なのでここで森山さんが辞めてしまうと、タコ糸が切れた凧みたいになって逢沢さんが独断で決めちゃう可能性もあります。なので、森山さんがどうなるのか。

石破さんは、森山さん辞めてもらうと政権傾くの分かってますので懐柔したい。つまり説得したい考えなんですね。そこで森山さんがそれに応じるのか、仮に幹事長をやめるにしても、幹事長代理という一歩下がって、裏の“影の総理”で“裏の幹事長”みたいなことになって、続けるかというそういう案も実は浮上しているというところです。

森山幹事長、逢沢委員長 (関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」より)
森山幹事長、逢沢委員長 (関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」より)

青木源太キャスター:石破総理の続投を批判する声の中に、『選挙に3連敗してる責任を取ってないのはどうなのか』とやっぱり声があるじゃないですか。そういう中で森山幹事長が辞任しないというのは、なかなか納得しないんじゃないかなと思うんです。

青山和弘さん:世論的には納得しない声もあると思うんですが、先ほど言ったように、世論調査で続投支持も多いし、なんと言っても今、懸案が山積みで、特にこの秋の国会に向けては、野党との協力関係が非常に大事なんですね。つまり立憲民主党なのか、維新の会なのか、国民民主党なのか、どこと協力するかそういったことを一手に握ってきたのが森山さんなので、森山さんやめさせると自民党政権自体がもう成り立たないんじゃないかみたいなそういう言い訳が通用するかどうかこれが大きな、総括の内容にもよると思いますね。

関西テレビ 江口茂解説デスク:そうすると参院選の敗因この報告書にまとめます。まあなかなか厳しい内容になったとして、それでも“誰も責任をとらない”ということは通用するんでしょうか?

青山和弘さん:なかなか通用しない可能性あります。だから『幹事長は辞めます、だけど幹事長代理になります』なのか、そのあたりが来週の最大のポイントになると思います。

政治ジャーナリスト青山和弘さん(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」より)
政治ジャーナリスト青山和弘さん(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」より)

■石破首相の夏休み「国会図書館で本を借りて」 “戦後80年の談話”の準備

そんな石破首相は先週夏休みをとっていた。何をしていたのだろうか。

青山和弘さん:お盆休み全く予定入ってないのがあったんで、『ゆっくり休めたんですか』と石破さんに聞いてみたんですが、『全く暇がなかった』と。

実は夏休みに入る前に、国会図書館に行って本を借りてきてるんですよ。本屋さんじゃなくて国会図書館で何借りたのかなって思ったら、これは『戦後80年の談話』。談話じゃなくてコメントなのか、見解なのかということなんですが、今これを必死に考えている。資料を借りてきて、その資料に基づいた談話作りに勤しんでいたと。

(Q.何日ぐらい休みだった?)
青山和弘さん:15日は終戦の日なので、そこで追悼式とかもありましたので、その前2日ぐらいは全く日程が入ってなかったんですよ。結構ゆっくりできたかなと思ったんだけども、こういった文言を考えてたのプラス、TICADというアフリカ開発会議。この後は韓国の大統領や、インドの首相もやってきますので、こうしたことの予習で、『本当に忙しかった』、『全く休む暇がなかった』と語っていました。

青木源太キャスター:総理大臣によっては、ゴルフを楽しまれる方もいらっしゃるじゃないですか。

青山和弘さん:例えば安倍さんなんかは、ゴルフに行ったり、昔の学校の友人と会ったりとか、映画観に行ったりとか、そういうタイプだったんですが、石破さんは悪く言うと社交的じゃないっていうか、そういうのよりも本を読んで作業をするというタイプの総理大臣。

青木源太キャスター:見方によっては、夏休みも忙しくされてたという見方もできるし、こういった本読んだりとかがお好きな方という言い方もできますね。

青山和弘さん:そうですね。やはりゴルフ行ったりするよりも、こっちの方が自分の性に合ってるっていうところも実際あるんじゃないかと思います。

『全く暇がなかった』という石破首相の夏休み(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」より)
『全く暇がなかった』という石破首相の夏休み(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」より)

■石破総理は「全く辞める気はない」詰まった日程は「辞める暇ない」アピールか

青木源太キャスター:プレッシャーもかかるし大変な仕事だから、休みは私は自由に英気を養ってもらっていいと思うんですよ。例えばゴルフしたっていいと思うし、石破総理のように勉強しても良いと思うし。だから例えば次の総理大臣が夏休みゴルフ行ったからといって、『いや石破総理はずっと勉強してたでしょ』とかいうのも違うと思うんです。

(Q.一緒に勉強する人はいる?)
青山和弘さん:あんまりいないですね。石破さんは本当にある意味、“孤高の人”なんですよ。外交日程含め、日程がいっぱい詰まっているというのは、石破さんは『自分が辞める暇はない』と、そういうアピールでもあるんですね。

この戦後80年のコメントも、いつ出すかまだ決まってなくて、9月2日なんて話もあったんですが、(戦争を)やめた日は8月15日なんだけども、実際にアメリカ軍と講和をした日、降伏文書に署名した日は9月2日。

ただそこに(戦後80年のコメントを)出すとなると、その後8月15日から9月2日までの間にソ連が北方領土侵攻したのとかを、ある意味認めてしまうようなことになる。つまり戦争はいつ終わったのかという話になっちゃうので、9月2日はどうも石破さんは出さないという考え方。

青木源太キャスター:でもこの夏休みの過ごし方を見ると、戦後80年のコメントなり何なりというのを、出したいという意思も伝わってきますよね。

青山和弘さん:間違いないです、それは。だから石破さんは、まだ全く自分は辞める気はないんですね。ただ森山さんが『どうしても辞めなきゃいけない、自分は引く』となると、総裁選の前倒しのスピードも上がるかもしれませんし、石破政権最大の危機、本当に退陣に追い込まれる可能性もある。それはもう来週、結論が出る可能性があるってことなんです。

(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」2025年8月20日放送)

石破首相の今後の主な日程(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」より)
石破首相の今後の主な日程(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」より)
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