激減しているあの懐かしの飲み物の秘密を徹底取材しました。
夏といえばお祭り!そして、お祭りといえば…キンキンに冷えた瓶で飲むラムネです。
しかし今…ラムネと同様、瓶に入った飲み物の定番「瓶牛乳」の数が激減!
一方、皆さんに聞くと…。
【街の人】「瓶の方が美味しく感じます」「紙パックじゃつまらないね」
瓶牛乳の方が本当に美味しいのか…?そのワケを真面目に徹底調査しました!
■急速に減少する瓶牛乳
今、急速に減少している懐かしの瓶牛乳。
農林水産省の調査では、10年間でおよそ3分の1に減少しているというのです。
大手の明治は今年3月、「明治おいしい牛乳(180ミリリットル)」や「明治コーヒー(180ミリリットル)」といった、瓶入りの牛乳など4品目の販売を終了。
生産設備の老朽化などで、瓶の調達が困難になったことなどを理由に、販売終了を決めたそうです。
■「瓶で飲みたい!」という人が多い理由は「瓶の方が味が良い」!?
急速な瓶牛乳の減少を消費者はどう受け止めているのか。
瓶牛乳といえば!で向かったのは銭湯です!
【記者リポート】「あー、気持ちよかったぁ」
やはり風呂上りは、よく冷えた瓶牛乳ですよねぇ。
お客さんに瓶牛乳の減少についてどう受け止めているのか話を聞くと…。
【お客さん】「寂しいですよね。ぜひ残していただきたい」
【お客さん】「やっぱり風呂上りは、この瓶じゃないですかね。なくならんといてほしいね」
【お客さん】「るいちゃん(小さな子ども)も、瓶で飲みたいよね」
みなさんやはり「瓶がいい!」と口をそろえます。
そして、その理由として聞かれたのが。
【お客さん】「紙パックやと紙の味がありますけど、瓶はそういうのが一切ないので、新鮮な味がしますね」
「瓶の方が味がいい!」というのです。
ではなぜ、私たちは瓶の牛乳の方がおいしく感じるのでしょうか。
■瓶の方が「におい移りが少なく、本来の味を邪魔しない」と製造者
その秘密を探ろうと、次に取材班が向かったのは、瓶牛乳の製造を続ける「たからづか牛乳」。
こちらでは、近くの牧場でとれた新鮮な牛の乳を、低温で殺菌し、できるだけ「生乳」に近い状態でお客さんに届けています。
タンクで殺菌した後、瓶に注がれる牛乳…1本1本、丁寧に手作業で仕上げていきます。
「プラスチックボトル」の商品も販売しているということですが、銭湯でも聞かれた「瓶の方がおいしい!」と感じる理由を聞いてみました。
【たからづか牛乳の担当者】「うちのプラスチックのボトルでも、においつきにくいものを使用しているが、若干プラスチックのにおいがある。殺菌して詰めるだけなので、(におい移りが)ないですね、ガラスは」
(Q.数値的には?)
【たからづか牛乳の担当者】「成分は変わらないんですけど、口に入れた時の風味が、若干あるんやと思います」
瓶の方が「におい移りが少なく、牛乳本来の味・風味を邪魔しないのでは」というのです。
■記者が飲み比べしてみると…?「なんか…そんな気がする」
本当にその違いは分かるのか?販売店にお邪魔して実際に2種類を飲み比べてみることにしました!
【記者】「いただきます」
まずは「プラスチックボトル」から…。
【記者】「すごい濃いですね。濃厚でフレッシュな味がします」
さあ、続いて瓶の牛乳、果たして違いは?
【記者】「なんか濃い気がしますね、濃い気がします」
「なんか…そんな気がする」と、怪しい感想を並べる記者。
■どちらか分からないようにしてもう一度!
本当に違いは分かるのか?真相を確かめるため、どちらかわからないようコップに注いで、もう一度!
正解は「右」がプラスチックボトルで、「左」が、ガラス瓶です。
【記者】「こっち(左)からいただきます」
【記者】「もう一個(右)もいただきます…分かった気がしますね。こっち(左)が瓶、こっち(右)がプラスチック!」
見事に正解しました!
【記者】「合ってる、合ってる!ほら!口に入れた瞬間の濃さが、瓶のほうが濃いです。わかりましたよ!」
「まぐれ」の気もしますが、おみごと!
しかし、この違い、“感覚”ではなく“科学的”に裏付けることはできるのか?
■アメリカの名門大学も論文発表
味覚に詳しい専門家に話を聞きました。
【OISSY株式会社 鈴木隆一さん】「一番大きな違いは、香りの部分だと思うんですけど、瓶のミルクだと、ミルクのにおいが(外に)出ない。かつ外からも入ってこれない。これはアメリカの研究でも実際にそういうデータが出てまして」
なんと!アメリカの名門大学ノースカロライナ州立大学が「牛乳は瓶の方がおいしい」という研究結果を発表しているそうなんです。
論文によると、「紙パックやプラスチックボトルなどに比べ、瓶は香りが逃げず、外からのにおいの影響も受けにくいことから、おいしく感じられる」といいます。
【OISSY株式会社 鈴木隆一さん】「感覚的にみんな思ってることが、(科学的に)示されてる」
(Q.瓶牛乳お好きですか?)
【OISSY株式会社 鈴木隆一さん】「そうですね、好きです。温泉あがりは『瓶で』って」
生産量が急速に減少している一方、瓶牛乳の魅力が科学的にも立証されました!
■瓶にこだわる「オロナミンC」と「ポカリ」
さらに「瓶飲料」の魅力に迫ります。
いまでも「瓶」を大切にしている人気飲料が「オロナミンC」。
発売から60年の歴史がありますが、茶色の瓶を使用しているのは、「ビタミンを光から守るため」なんです。
さらに、「ポカリスエット」は循環型社会の実現に向けて、2022年に瓶入りを展開しています。瓶は原料の節約やCO2排出量の削減にも繋がるということです。
京都大学大学院の藤井教授も、「瓶のよさ」を語ります。
【京都大学大学院・藤井聡教授】「口にあてた時に歯に『カチッ』とあたる。あの形が、紙だと『ふにゃっ』。プラスチックでも『ぼそっ』。瓶で『カチッ』あれがいいんです」
瓶の良さが改めて見つめなおされています。
(関西テレビ「newsランナー」2025年8月)