俳優の大東駿介さんが、訪れた街のうんちくや、まだ地元住民にも知られていないような魅力を探す「発見!てくてく学」
今回の舞台は京都・鞍馬です。
■「宇宙エネルギー」が宿る聖地・鞍馬寺
大東さんがまず訪れたのは、「鞍馬寺」。
「鞍馬寺」は「京都から最も近く、最も深い自然」といわれる霊山・「鞍馬山」の中にあります。
【大東駿介さん】「本殿に来るまで参道を登って来ましたけど、なかなかの険しい山道でしたね!でもなんかすがすがしい気分になるというか...」
本殿の前には、パワースポット「金剛床(こんごうしょう)」があります。
宇宙エネルギーである「尊天」の波動が広がる星曼荼羅を模した石床で、中心に両手を広げて祈ることでそのエネルギーを感じ取ることができると言われています。
【大東駿介さん】「しょっちゅう来るんです。ここはパワースポットたくさんあるんですけど、自分の体が居心地いい場所というか…。しょっちゅうパワーいただいてます、ここで」
■京都から福井繋ぐ「鞍馬街道」 名物「木の芽煮」ご飯が何杯あっても足りない大東さん
鞍馬寺から下り、歴史ある鞍馬街道を歩く大東さん。
平安時代から人々の往来が絶えない、京都から福井県小浜まで続く歴史ある街道です。
【大東駿介さん】「こっち来たことなかったな。気持ちいいですね!水路と川と山並みと」
街道沿いで発見したのは、創業100年を超える老舗「くらま辻井」です。
元々は林業で炭の卸し問屋をしていましたが、炭を京の都へ売りに行く際、家庭用の佃煮を一緒に持って行って売るうちに評判となり、いつしか本業になっていきました。
そんな「くらま辻井」の看板商品「木の芽煮」を試食させてもらうことになりました。
『木の芽煮』は天然の利尻昆布を山椒の葉・実を入れて炊き込んだものです。
【大東駿介さん】「ツンと抜ける山椒の香りがね。昆布もお出汁がぎゅっと詰まってて、口に含んで鼻から抜ける香りが広がってきます」
大東さん、濃厚な味わいにごはんが進み、なんとお茶碗2杯分を完食しました。
■山奥に”昆布”?佃煮に隠された「鯖街道」の歴史
しかし、ある疑問が。
山奥の鞍馬でなぜ「昆布の佃煮」が名物なのでしょうか?
辻井さんが明かした答えは意外なものでした。
【辻井さん】「実は、お店の前にある鞍馬街道は“鯖街道”の1つだったんですよ」
福井県小浜まで続く鞍馬街道は、運ばれてくる海産物を京都へ運ぶ重要なルートでした。
行商人たちが良質な利尻昆布を運んでいたため、山奥でも天然の昆布を使うことができたのです。
【大東駿介さん】「その物語も含めていただけるわけですね。美味しかった」
■困難を乗り越えた「くらま温泉」の復活劇
鞍馬街道をさらに奥へ進むと現れたのが「くらま温泉」です。
【大東駿介さん】「11月グランドオープンってことはまだ半年ぐらいってことですか?」
「くらま温泉」はかつては年間8万人が訪れる人気スポットでしたが、2020年、コロナ禍で客足は激減。
さらに豪雨による土砂災害で施設に大きな被害を受け、約30年の歴史に終止符を打ちました。
現在社長を務める藤波良子さんに話を聞くと、復活への険しい道のりが見えてきました。
【藤波さん】「名物である露天風呂が外にあるんですけれども、そちらの露天風呂の屋根が全壊しまして...。そのあと『くらま温泉』を復活させたいという有志たちが集まりまして、去年の11月に再オープンさせることができました」
クラウドファンディングなどで資金を集め、地元住民や古くからの常連客の協力を得て、ついに復活を遂げたのです。
■「ミシュラン2つ星」店から「故郷愛」で戻ってきた料理人
復活したくらま温泉で特に注目されているのが、レストランの料理です。
その理由は、15年にわたりミシュラン2つ星を獲得している名店「祇園にしかわ」で8年半修行を積んだ松本眞和さんが料理長を務めているからなんです。
【松本さん】「ミシュランの星付きの店で8年半ぐらい修行させてもらってました」
師匠からは「もう自分の店を持てる」とまで言われていた松本さんが、なぜここ鞍馬の温泉を選んだのでしょうか?
【松本さん】「実はすぐそこが実家でして、鞍馬で生まれ育ってるんで。地元を盛り上げる活気をまた戻せる何かお力になれたらなと思って」
松本さんの方から「お願いします」逆オファーがあったんです。
■一流の技術と地元愛が融合した絶品料理
松本さんが作る料理は、まさに一流の技術と地元への愛情が融合した逸品です。
炭火で焼いたうなぎの玉重や、「木の芽煮」を使った鯖寿司など、どれも評判を呼んでいます。
使われていた「木の芽煮」は先ほど立ち寄った「くらま辻井」のものでした。
【大東駿介さん】「さっき辻井さんに寄らせてもらいましたよ!」
【松本さん】「うちの実家、辻井さんの近所なんです。両親が辻井さんのところで働かせてもらってます」
【大東駿介さん】「そうなんですか!?めちゃめちゃ地元やん!」
【松本さん】「くらま温泉がリニューアルオープンして、また町の人にも『よう活気戻ってきたな』って、近所のおばちゃんとかおっちゃんとか言うてもらえてるんで」
地元を愛する人々の力で復活を遂げた「くらま温泉」。
松本さんの料理は、鞍馬の新たな魅力として注目を集めています。
■鞍馬に息づく絆と復活の力
鯖街道の歴史が育んだ伝統の味、災害を乗り越えて復活した温泉、そして故郷を愛する料理人の技。
それぞれが織りなす物語は、鞍馬という場所の深い魅力を物語っています。
【大東駿介さん】「2020年の水害の時も京都でちょうど仕事してて、本当にあの時期大変だったんですけど、あれがあって新たにそこで育った松本さんみたいな人が帰ってきて、よりよい鞍馬がつくられてるんだなと実感しました」
鞍馬の真の魅力は、この土地を愛し、支え続ける人々の心にこそあるのかもしれません。
(関西テレビ「newsランナー 大東駿介の発見!てくてく学」2025年8月6日放送)