鹿児島県南大隅町では、8年前からパイナップルの栽培に力を入れていて、今、収穫の最盛期を迎えています。
南大隅町がパイナップルの栽培を始めた理由とは?
7月。南大隅町内でパイナップルを栽培する農家や、JAの関係者らが集まり、2025年のパイナップルの試食会が行われました。
パイナップルの糖度を測ってみると・・・
「これは(糖度)18.1度」
南大隅町経済課 営農指導員・岩下恭一さん
「(糖度が)15度以上はすごくおいしいが18度のパインはなかなかない。最高の品物ができている」
試食会が行われたのは南大隅町が整備した「佐多岬熱帯果樹施設」です。
熱帯のくだものを新たな特産品にしようと、南大隅町が8年前に整備して、技術開発や農家への栽培研修をしています。
ハウスではパッションフルーツやアボカドも実っていました。
南大隅町が熱帯果実の産地として力を入れ始めたのにはこんな理由もあります。
南大隅町経済課 営農指導員・岩下恭一さん
「今、地球温暖化の影響で、これから先、熱帯果樹類の作物へのシフトも考えられる」
現在、南大隅町では13戸の農家が119アールの畑でパイナップルを栽培していて、その数は年々増えているそうです。
パイナップル農家・仲理恵さん
Q.どのくら前から栽培?
「移住してからなので5年。4年か5年です」
Q.移住なんですか?
「こちらは移住している人が多く、移住者が作っている」
Q.どちらから?
「東京から来ました」
試食会で出会った仲さんのハウスに、おじゃましました。
「すみません、イノシシ出たんで。中まで入ってきたんですよ」
南大隅町の山あいにあるハウスで、夫の究さんと4種類のパイナップルを育てています。
2人とも警察官だった仲さん夫婦。
赴任先の東京都の小笠原諸島の父島で大自然に魅了され、「自然に囲まれて暮らしたい」と南大隅町への移住を決意しました。
自然を相手の仕事は苦労がつきません。
仲さんは収穫までに通常よりも長い2年の歳月をかけていて、自然との戦いがそれだけ長く続きます。
パイナップル農家・仲究さん
「植えてから実になるまで2年間、その間に台風が来たり、寒波が来たり、色々な条件があり、実になるのは半分。半分近くはだめ」
パイナップルは100グラムあたり100円程ですが、実が十分に大きくならないこともあります。
パイナップル農家・仲理恵さん
「これくらいが200円か300円しかない。これがほとんどではないか、今。ちょうど花の時期が寒波だった。花の時に小さい花が咲いたので、小さい実になると決まっていた」
苦労が多いパイナップル栽培ですが、「試練を乗り越え生き残ったパイナップルは甘い」と、仲さんは太鼓判を押します。
パイナップル農家・仲究さん
「私自身が元々パインが好きではなかった。それが、南大隅町を見に来た時おいしいパインを食べて、今まで食べていたパインと全然違った。感動、色々な人に味わってもらいたい」
パイナップル農家・仲理恵さん
「リピーターが少しずつ付いて『おいしい』と声をいただくので、何回も食べてもらうことが私の原動力になっている」
パイナップルの一大産地を目指した取り組みは続きます。
南大隅町産のパイナップルは現在旬を迎えていて、鹿児島県の南大隅町や錦江町の道の駅などで販売されています